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Yuji村上さんのレクチャー

 先日御紹介した、京都在住のバーマジシャンであり凄腕の研究家でもあるYuji村上さんの手による
素晴らしい作品集『Starting Members』の出版を記念して、Yuji村上さんのレクチャーとクロースアップ・ショウが関西地方でも開催されることになりました。

 関西地方の皆さん、一言だけ言います。必見だと思います。
 村上さんのレクチャーだけでなく、豪華なメンバーのショウが楽しめて、この素敵な作品集がお土産に付いて、しかも参加費がこの値段というのは、ただただ常軌を逸しているとしか思えません(良い意味で!)。凄すぎます!!
 村上さんが行う「Try-out」などの実演を、是非あなた自身で目撃してください。この技法は、実際に見ないと信じられないと思いますから。

 お近くの方は是非どうぞ。詳細はここをクリック!

 
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予約不要の格安セラピー

 なんとか、仕事の小さな山を越えることができました(とはいえ、課題山積ではあります…)。
 久々の息抜きに、今日は妻のCathyとこの地方の玄関口とも言える大きな駅前へ。ちょっと見たかった催事があったため、デパートの梯子。数時間歩き続けましたので、流石に疲れました。

 これはアズテカ原住民の強壮剤“xocoatl(「苦い水」という意味らしい)”を体内へ入れて、元気を出さねば!と、今年出来たGODIVAのコンセプトショップ“Chocoist”へ。

 御存知ゴディバは、ベルギー生まれの最高級チョコレートメーカーの1つ。ゴディバのチョコと言えば、すこぶる美味しいチョコレートなのですが、トリュフ1粒で普通の板チョコが数枚買えるといったお値段。大変不謹慎なのですが「末端価格」という物騒な言葉が脳裏をかすめます(でも、以前ゴディバの工場を映したドキュメンタリーを観たのですが、この値段に値する仕事をされています。高品質のチョコレートを作るときにはかかせないテンパリングの工程などは、惚れ惚れとしてしまいました)。
 しかし、このコンセプトショップは「ゴディバを片手に、街に出よう」という合言葉の下、お手軽な値段で質の良いチョコレートを楽しめる気軽なお店なのです。ちょっと頑張った自分への御褒美にはピッタリでしょうね。若いお嬢さんたちやOLさんたちも多く来店するはずです。

 日本ではお店の名前を「ゴディバ」って読むけれど、アメリカだと「ゴダイヴァ」って感じで発音します。なので、東京在住の頃は夏になる度に“ゴダイヴァを買いに「ゴダイヴァ(お台場)冒険王」へ行こう!”とかなり寒いオヤジギャグを飛ばし、Cathyに冷たい目で見られていたのも今では良い想い出です。…いかん、理性でオヤジギャグを止められない歳になってしまった!

…おほん、もとい。

ここのお店は、店内もチョコレート。

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なんて美味しそうな壁なんだ!

 インテリアのデザインは、片山正通さんが担当。変わったデザインのお店を多く手がけていらっしゃるデザイナーさんです。確かにこのぐにゃりとした感じ、片山さんのタッチですね。原宿の旗艦店
は、もっとお店が美味しそうなんですよ!

 このお店で、私たちはチョコレートを買いません。ここでしか頂けない、冷たいチョコレートドリンク「ショコリキサー」が、今日のお目当てです。
 私たちは純粋にチョコレートの味を楽しみたいので、私は「ミルクショコリキサー」、Cathyは「ビターチョコリキサー」。

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(左がビターで、右がミルクチョコ)

 うは、Godivaのチョコならではのリッチなコクとまろやかな甘さが口一杯に広がります。時々、口に入ってくるチョコレートチップが良いアクセントです。私の甘めなミルクチョコ味、Cathyのちょっとほろ苦いビターチョコ味、それぞれに美味しさがあります。
 寒い時期なら、ホットチョコレートも美味しいですよ~(そういえば、石田天海さんの奥さまだった“おきぬ”夫人が晩年に喫茶店へ行かれると、絶対「ココア」と言われず、凄く良い発音で「ホットチョコレートをください」と注文されていたって伺ったことがありますね。なんて、格好良いおばあちゃまなんだろう、と思いました)。

 チョコレートを身体に入れると、あっという間に疲れが吹っ飛ぶ不思議。下手なセラピーよりも、この飲み物の方が何十倍も霊験あらたかであります。気持ちもクールダウンさせて、体力を復活させた二人は再び街中へと出掛けるのでありました。
 何を捜しに行ったのかは、それはまた別の話。

“Chocolate is cheaper than therapy and you don't need an appointment. ”
- Unknown


・ゴディバ ショコイスト 名古屋ユニモール店
名古屋市中村区名駅4-5-26 (名古屋駅桜通り地下街ユニモール内)
Tel : 052-563-0085

Genii Magazine (Novemeber 2009)

 Richardが編集長をしている奇術専門誌『Genii』の最新号である、2009年11月号が到着しました。

giobbi_genii.jpg

 今回の特集は、スイス在住の素晴らしいプロマジシャン、Roberto Giobbi氏の特集です。『カード・カレッジ』シリーズ(ロベルト・ジョビー著、加藤友康、壽里竜訳、東京堂出版刊)の著者としても世界的に有名です。『カードマジック事典』と共に、カードマジックを学びたい方の書架に無くてはならない基本書のシリーズだと思います。
 リンク先は第1巻のものですが、現在は第4巻まで邦訳されています。アメリカでは第5巻まで、そして、シンプルな技法のみを使用した効果的なセルフ・ワーキング・トリックを集めたスピンオフ的な作品集『Card College Light』(Hermetic Press Inc.刊、2006年)と『Card College Lighter』(同刊、2008年)が出版されています(この「Lite」シリーズ、ドイツ語の原書では『Light』『Super Light』『Extra Light』という名前の3部作になっています。タバコの名前とかけているんですね。
本家に比べて軽く演じることができるって事みたいです。でも、いくらセルフワーキングだとはいえ、練習は必要です。知らなかったら騙される、珠玉の作品がこっそりと解説されていますよ。ちなみに、原書の『カード・カレッジ』自体は、全10巻になる予定だそうです)。

 以前、私の先生Jamyはジョビー氏と一緒に『Card Clinic』という3日間のセミナーを何度か行って、素晴らしい内容だったと大変評判になりました。
これは実際に参加された方から伺った忌憚ない意見だったので、信頼できると思います。Jamyは
「ロベルトは最高な紳士だよ」といつも言っています。

 今回の表紙は、今までに世界中で発売された『カード・カレッジ』の表紙デザインをモザイク状に組み合わせ、ジョビー氏の肖像画にしてあるのです(上記の写真、サムネイルとクリックして大きくした写真を見比べてみてください)。
 これは、この方の作品で有名な手法です(トップページのモンロー、凄いですよね)。凄く素敵なデザインです。

 知的でユーモアに溢れた人柄がにじみ出ているジョビー氏へのインタビューは、大変面白いです。氏が「好きなもの」として“エレガントな論理”と“刑事コロンボ”を、「嫌いなもの」として“(インターネットのような)時間どろぼう”“不必要な発明”そして“ダイエット”を挙げているだけで、私は惚れてしまいそうになりました。インタビューでは、氏がどうやってマジックに出会い、いかに真摯に向きあっているのかが良く分かります。

 そして、氏の素敵な復活するロープ「The Houdini Rope Trick」(1989年に氏が日本でレクチャーをして以来、私が好きな手順になりました。同年にマジックランドから出版された『ロベルト・ジョビー・レクチュアノート』にも掲載されています)、そして、最終的にすべてが論理的に大団円を迎える名刺を使った「ワイルド・カード」、「Wild Bussiness」が解説されています(この作品は氏のこのレクチャーDVDに解説されています。英文では1996年に発表された『The Las Vegas Lecture Notes』の中で初めて掲載されました)。
 この2作品だけでも、十分に購読料分の元が取れると思います。
(10月30日追記:やっと試し終わった! もう1つ解説されている、ほぼ技法を使わないギャンブリング・デモンストレーションの手順も凄く良いです。こうしたテクニックの披露系のマジックがお好きな方には、タマラナイ手順だと思います)

 カードが1枚ずつ変化していくお馴染のパケット・トリック『ワイルド・カード』が持つ最大の問題点は、その方法論以前に「どうしてカードを変化させないといけないのか?」という理由付けがまったくないことにあると思います。
 そのためにいろいろな優れたマジシャンがエレガントな解法を発表してきました。例えば、亡き名人だったトミー・ワンダー氏は「ミスを修正する」という理由付けで演技を行い、アメリカの素晴らしいマジシャン、ピーター・サメルソン氏はSF映画の古典的作品で何度もリメイクされてきた『ボディースナッチャー/恐怖の街』(1956年)を演出に取り入れ、「宇宙人が地球人を侵略する」という理由付けを使ってエンターテインメント要素を加えた演技を行っていらっしゃいます。
 ジョビー氏のアイデアはワンダー氏の解法に近いのですが、理由付けがさらに明確になっています。実は、一般の方に何げなく見せるのにも素敵なマジックなのです。私も会社勤めのときに、会社から離れた時間に他の会社の方とお逢いするときには、一時期使っていました。

 そして、氏が解説する「マインド・マップ」を使ったマジックの分析方法は大変面白いです。
 以前『The Magic』誌の私のコラムでもチラリと書きましたが、この考え方は最近様々な企業セミナーでも取り上げられています。しかし、創始者のトニー・ブザン氏の考えを曲解して教えているいい加減なセミナーも多く、実際にはブザン氏の著作『ザ・マインドマップ - 脳の力を強化する思考技術 - 』(トニー・ブザン、バリー・ブザン共著、神田昌典訳、ダイヤモンド社刊、2005年)をお読みになられることをお奨めします。
 かなり以前から、文章をまとめる際に私はこの方法を取り入れています。複雑な問題も、結構すっきりと整理できて文章が書きやすくなるんですよね。

 丁度今、フィールズマジック・エンターテインメント社さんからの依頼で、“Think a Card”という、観客が心の中に思ったカードをズバリと当てるマジックに関する歴史や方法などをまとめた面白い洋書の翻訳と、その注釈の取りまとめを行っています。
 このジョビー氏のエッセイの中に例として出されている彼の“Think a Card”の分類法と私の分類法がほぼ似ていたので、「良かった…」とちょっと胸をなで下ろしました(手前味噌ですが、この訳本、大変面白いので興味のある方はもう少しお待ちになられると吉でしょう。もし、あなたがメンタリストなら必読ですよ!)。

 時を同じくして、名作『カードカレッジ』の最初の2巻を実際に映像と詳細な解説で再現したDVDシリーズ『Roberto Giobbi's Card College 1&2 Personal Instruction』(Hahnemagic刊、2009年)が発売開始されました。もちろん、ジョビー氏が出演して詳細に解説を加えていきます。
 この会社、 世界最高のイリュージョン設計者であり、マジックの歴史家でもあるジム・ステインメイヤー氏が設立した会社で、去年は3ヶ月に1本ずつ1年かけて発売された、名手ジョン・カーニー氏のDVDセット 『The Master Session』を発表し、その内容の素晴らしさに世界中の研究家は称賛の声を挙げました。ジョビー氏のDVDもカーニー氏と同じフォーマットで製作されるので、内容は絶対良いに決まっています。今ですと来年の1月30日までディスカウントが受けられますので、興味のある方は是非にとお奨めします。これでまた、1年間楽しむことができそうです。

 アメリカの素晴らしい若手、アーロン・フィッシャー氏による、カード・マジックとその作品デザインを扱った知的興奮を誘うコラム「Tension,Focus and Design」では、たった1つしか技法を使わない、一瞬で終わってしまうデック全体が引っ繰り返ってしまう現象「Rock N' Rye」が解説されています。
 大変巧妙な視線のコントロールだけで決まる、凄く素敵なマジックだと思います。もし『世界のカードマジック』(リチャード・カウフマン著、壽里竜和訳、東京堂出版刊、2008年)をお持ちの方は、この中に解説された「ワールド・ファステスト・リバース」という作品や、高橋知之氏による厚川昌夫賞受賞記念のパンフレットに解説された作品などと比較されると面白いでしょう。 
 
 もちろん、ジョン・ラッカーバウマー氏による「On the Slant」、Richardによる「Genii Speaks」、そしてJamyが担当する書評やデヴィッド・リーガル氏が担当する商品レビューなど、通常連載のコラムも充実しています(Jamyが今回書評をした内の1冊に関しては今書きかけている最中なので、近いうちに“Someday in the rain”の中で取り上げます)。

 『Genii』誌に興味のある方で購読申し込みされたい方は、こちらからどうぞ。
 今購読をされると、先月発売になった、創刊75周年を祝って作られた奇術専門誌『The Jinx』(ハリー・アンダーソン、ジョン・ラッカーバウマー共同編集)の最新号がもれなくプレゼントされます。マイケル・ウェーバー、バリー・リチャードソン、デヴィッド・ベン、バナチェック、ユージン・バーガー、デレン・ブラウンといった淙々たる寄稿者の作品やエッセイが詰め込まれた1冊です。

 もし英語で申し込むのはちょっと…と言われる方は、マジックランドでも購読受付をしています。電話で御確認ください。

『Magic 1400s - 1950s』

 折に触れマジック関連の書籍を読みますが、今年はマジックそのものというよりも、マジックに関する歴史とか伝記などの書籍の方が奮っているような感じがします。

 パッと頭に残っているだけでも、海外でしたら70年代から80年代を一世風靡したイリュージョニスト、ダグ・ヘニング氏の伝記 『Spellbound : The Wonder-filled Life of Doug Henning』 (ジョン・ハリソン著、Box Office Books刊、2009年)が素晴らしかったですし、
日本でしたら藤山新太郎師の力作『手妻のはなし - 失われた日本の奇術 - 』(藤山新太郎著、新潮社刊、2009年)が素晴らしかったですね。新太郎師が先日行われた舞台を拝見しに行けなかったのは、返す返すも残念です。呑馬術(リンク先はpdfファイルです。この河合勝先生の論文は必読)、見たかったなぁ。

 そんな中、今年の真打ちとも言える著作が発売になります。
『Magic 1400s - 1950s』(マイク・ケイヴニー、ジム・ステインメイヤー、リッキー・ジェイ共著、ノエル・ダニエル編、TASCHEN刊、2009年)

 アート系の写真集や歴史書などで定評のあるドイツのTASCHEN社が、マジックの歴史書を出版しました。題名の通り、西洋奇術の歴史を15世紀から20世紀半ばまで詳細に追った歴史書になります。
 もともとTASCHEN社が出版する本は豪華で洒脱なデザインの本が多いのですが、この本は650頁で、なんと重さが6キロ越えというとんでもない本です。確実に、枕元に置いて読めません(私が中学生のころ、重たい本をベッドサイドに積んでいたら、何かの拍子にそれが崩れて私の頭に直撃して、額から血を流して気絶している所を家族に発見されたという、いろんな意味で痛い想い出があります)。

 編集者のノエルさんは、以前TASCHEN社から素晴らしいサーカスの歴史書を出されています。それに加え、世界的にも高名な歴史家たち3名が取り組んでいるので、内容はバツグンなようです。確かな情報筋の話なので信用できます。ここで試し読みができるようですね。テキストは、英語、フランス語、ドイツ語の3カ国語で書かれています。
 Amazon.comですと、今ならPre-Orderの特価として、定価200ドルの所を126ドルで予約受付をしています。これはお買い得でしょう。ただし、送料がどれくらいになるか、考えただけでも頭が痛いですが…(多分、このディスカウント分を軽くオーバーすると思います)。

 かなり高額な本ですが、クリスマス時期に向けて、奥さま、旦那様、彼女、彼氏におねだりするも良し、自分へのご褒美にされても良いかもしれません。 
 マジックの歴史に興味がある方、質の良い洒落た本がお好きな方には、是非にとお奨めできる本です。多分、この本が今年のベストになるのではないか、と今のうちから感じています。

 私も予約しましたが、本が届く間、この本を持って読むために腕の筋肉トレーニングを急いで始めようかなぁ…。
 
 いくら私が速読派であるとはいえ、いつ読了できるかまったく分かりません。いつの日にか“Someday in the rain”の項目で取り上げてみたいと思います。


memorandum #1

 季節外れの台風が去って、秋晴れの素敵な日。
これだけでも、気分が良くなります。しかし、部屋にこもってコツコツ仕事。
 途中、図書館で調べものをするために外出。図書館への道中、お城が素敵だったのでSnap!。

castle_1.jpg



 昨夜は妻のCathyと共に「メンバーズ・エルム」へ。
マスターの山内さんの御厚意で、凄い鯛のしゃぶしゃぶを御馳走に。お鍋が合う季節になりましたね。
魯山人に倣って…「旨い」。これ以上、表現のしようがありません。
 そして、山内さんによる新作のカードマジックをいくつか見せていただきました。
うーん、不思議…。初めて山内さんのマジックを体験したCathyは、ただただ茫然。
 素敵な時間を過ごさせていただきました。

 山内さんが演じられるマジックのタイミングを文章にするのは、至難の業だ。
方法はいくらでも文章にできるけれど、タイミングだけは…。ストップウォッチ片手に時間を計測しながら時系列で解説を行うくらいしか方法が思いつかず、文章の限界を感じます。  
 でも、方法は必ずあるはず…。



 今日はMichael Jacksonの新盤『THIS IS IT』の発売日。
 図書館からの帰り道、喜び勇んで行きつけのCDショップへ(ダウンロード専用楽曲以外、インターネット越しに音楽を買いません)。
 店員のお嬢さんに「Michaelの新しいアルバムをください」と言うと、お嬢さんは満面の笑みをたたえ「はい『Just Do It』ですね!」
…。
……。
………。
…惜しい。Michael 違い

 懐かしい歌声。こないだ発売されたMadonnaのベスト盤と共に、しばらく仕事部屋のヘビーローテーションにしよう。
 いつか素敵な音楽家の方が書かれた、80年代Popsの2大巨頭だったMichaelとPrinceの存在意義とその影響についてまとめた文章を拝読したいな。

 わ、MJ主演の映画『ムーンウォーカー』 (1988年)を再上映するんだ…。「Smooth Criminal」が彼のPVとして最高の作品だと思います。学生時代に当時の彼女と映画館で観て、あまりの恰好良さに痺れたなぁ。彼の格好良さを観るには、最高の映画ですね(内容は…だけど!)。
 映画の『THIS IS IT』も含めて、いつ観に行けるのかなぁ…。



 音楽映画と言えば。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』
(DMCのクラウザーさんのコメントに苦笑)

 メタリカにも影響を与えた、カナダのヘヴィメタルバンド「Anvil」。80年代に洋楽の洗礼を受けた人なら御存知のはず。50歳からこのバンドを復活させようと四苦八苦する男達のドキュメンタリーです。以前、敬愛する映画評論家、町山智浩さんのレヴューを拝読して以来、大変気になっていました。私好みの映画の手法“モキュメンタリー”っぽいと言われたら、観に行かざるを得ません。
 先週末(10/24)から封切りになったことを知ったのですが、この地方では、私にとって人一倍愛着のある映画館で上映とは。好評なようで上映地域も広がっている様子。上映地域に入っている皆さん、必見かと。
 とはいえ、すぐには観に行けない…。



 私の料理のきっかけは、仕事からの逃避という、非常に残念な部分もあります。
漫画家の吉田戦車さんのこの連載が大好きです。部屋の中に閉じこもっていると、逃避したくなる気持ちが身にしみて分かります。

 今、仕事に追われてしまい、どうするべ??と勘案している最中です。
そんなとき、先生Jamyから面白いレシピを聞きました。うわ、なにこれ!凄いなぁ。

バラの花のポテトチップス
(おっと、元URLが消えているので、日本のニュースサイトにリンク)

 うんうん、ジャガイモを薄くスライスできるスライサーはあるし、
スライスしたじゃがいもは水に晒せば良いね。思ってるよりも手間じゃなさそう。
…近いうちに友人が我が家に来るし、クリスマスパーティーとかも近づいてきたし、
今はCathyも出掛けてるし、じゃあ、ちょっと休憩と練習代わりにおやつで作ってみようかな…

♪You've got mail !

うん?メール?…なになに。

sb : 今、何やってんの?
text : 良からぬことを考えず、ちゃっちゃと仕事をする! From Cathy


………にょろーん ('・ω・`)



マジシャンの良心を感じる記事を発見。
「お札に何か書いたら罰せられるの?」



 旧友Paulから、pdfファイルを1つ送って頂く。
 大変面白い内容。ジェリー・サドウィッツ氏による賢い技法の改案とその応用作品が5点。
イラストが1枚もないところが素敵。実際にデックを手に持って、ちゃんと読まないと内容がつかめないから。最近、解説における「親切と不親切」の境界について深く思う所あり。忘れないうちに、まとめておかなきゃ。
 作品も素敵だ。元々素晴らしい技法やプロットの傷を治して、現象をさらに高める彼の能力は凄まじいものがあります。練習したくなる作品をいくつも発見。
 Paulのウェブサイトで、近いうちに販売開始するのかな。彼のe-bookは、値段と内容のバランスが大変良いので非常に好感が持てます。
 彼のサイトにある“ConCam Coins to Glass”と“Refried Poker”は私のお気に入り。



 イギリスのトニー・コリンダ氏が著したメンタリズムの歴史的名著『13 Steps to Mentalism』(Corinda's Magic Studio刊、1958年)のすべてを網羅した、名手リチャード・オスタリンド 氏によるDVD6巻セットが折角届いたのに、勉強する時間がまったくとれない。
 収録時間、合計12時間って。これだけまとまった時間を取るのは、流石に今は難しいなぁ(私はBOXセットのDVDは一気に観賞しないと気が済まない性質です)。各方面から内容の良さを聞いているだけに残念。
 うわ、私が好きで演じていた、あまり知られていない作品も解説されてる…。



 え? アクセス解析を見てビックリ!
多くの方に私の与太話をお読みいただいているよう。
北海道から九州まで、わざわざお越しくださいまして、ありがとうございます。
 あ、会社の中からは見ないでくださいね! 仕事優先でお願いします。会社にログを抜かれても知りませんよ!(笑)…冗談です、あなたの息抜きになれば幸いですよ。
 皆さまに楽しんでいただけるよう、精進いたします。

 それでは、失礼致します。

過ぎ去りし日の想い出

ponkun.jpg

 今日自宅のポストをのぞいたら、プロマジシャンのカズ・カタヤマさんから郵便が届いていました。封筒を開けると、Yuji村上さんのレクチャーノート『Starting Members』(Yuji村上著、片山工房刊、2009年)が中に入っていました。

 村上さんは、20年の歴史を誇る京都発の奇術専門誌『掌 - PALM - 』の編集長であり、ベテランの域に入るバーマジシャンであり、優れた創作家でもあります。『掌 - PALM - 』誌や『奇術探求』誌などの様々な専門誌に村上さんの作品が沢山掲載されているので錯覚していましたが、これが初めての村上さん単独の、仕掛けのないデックを使ったカードマジックだけで構成された作品集となります。村上さんはあまり露出されない方なので、実際に演技をされている様子をご覧になられた方が少ないのは本当に残念です。
 先日、東京で村上さんとカタヤマさんのクロースアップ・ショウと講習会が開かれ、そのときに初めて発表されました。東京の優れた愛好家やプロの方々に、かなり好評だったと伺いました。

 気になって仕事が手に付かないので、思い切って仕事の手を休め、村上さんのノートをデック片手に拝読しました(仕事の関係者の皆さま、本当にごめんなさい!)。

 村上さんはこのノートを1つの野球チームに見立て、硬軟合わせた一癖も二癖もある「選手」という名の9つの作品たちと2つの技法たちを、読者が待つグラウンドへ向わせています。こうした試合に見立てた作品集というのは、ポール・ハリス氏の『Close-up Entertainer』(Chuck Martinez Production刊、1979年)くらいしか読んだことがありません。早速、選手たちとお手合わせ願いました。私の好みというストライクゾーンにビシビシと、村上さんの決め球を投げ込まれました。思いつくままに作品を挙げてみます。

 さらりと演じられたら誰もが驚くはずのダイレクトなメンタリズム「Sound Trap - Monaural Version - 」、実戦的なカード当てであり、私の好きな「おや、いつの間に」現象が入る「Windam & Micras & Agira」、同じく実戦的なカード当てであり、本格派の「利き音 - Sound Reading - 」、この3作品は本当に素晴らしいと思います。これは練習を始めてしまいました。

 そして、村上さん一流の独特な技法たち。この解説をお読みになる前に、もしチャンスがあれば是非ご本人から見せてもらっていただきたいと切に願います。
 凄いフォールス・シャッフル「Try-out Shuffle」、そしてそれを使ったデックを手に持って行う非常にクリーンなトライアンフ現象「Try-out」(決まれば何もやっていないようにしか見えません)、技法の名前がすべてを言い表している「Secret Turnover Elmsley Count」とそれを使った鮮やかなトゥイスティング現象「Knock Knock Kings」。
 幸運なことに、かなり以前から村上さんに直接これらの技法を見せていただき、その都度引っ繰り返りそうになりました。
 非常に難易度の高い技法ですが、よくありがちな奇をてらっただけの、頭の中だけで生まれた無理や無駄がある実行不可能な技法ではありません。現に、村上さんは完璧にこれらの技法を行っていらっしゃいます。

 さらに、村上さんの必殺技「マニア向け(コアな専門家向け)」マジックも炸裂します。村上さんは実戦でマジックを演じられていることもあり、実戦向けのマジックとマニア向けのマジックの違いを「分かって」マニア向けの作品を演じることと、それが分からずにマニア向けの作品を演じることの差を、十分知っていらっしゃいます。
 ベテランのマジシャンによって、分かって演じられるマニア向けの作品にはある種の凄みが生まれます(デレック・ディングル氏のマジックを想起してみてください)。
 アメリカの素晴らしいマジシャン、ビル・グッドウィン氏の作品の素敵なバリエーション「フォー・トゥー・エーセス2」と「Unshuffled Four Aces」は、普通に見ていたら最後に痛い目にあう作品でしょう。

 この内容で2000円という値段は、確実にバーゲンプライスです。このコストパフォーマンスの良さは尋常ではありません。
 解説も分かりやすく、村上さんが実戦で培った貴重なコツなども惜しげもなく記述されています。イラストは、もちろんカズ・カタヤマさん。いつも通りの丁寧な素晴らしい仕事です。
 実戦で活動されている方から熱心な愛好家の方まで、幅広い層の方が楽しめて、実際に使えるレクチャーノートだと思います。素晴らしい「試合」を楽しませていただきました。

 これらの作品と同じくらい好きだったのが、タイムブレイクと名付けられた村上さんのエッセイ風の独白です。特に「深夜営業の喫茶店の話」という一編が心にひっかかりました。

 私も村上さんと同じく、インターネットを介した人間関係というものには今も非常に懐疑的で、実際にお逢いして会話をして初めて他者との人間関係が始まるのだと頑なに信じている古いタイプの人間です。
 実際、メールのアドレス帳をざっと見渡してみても、国内外合わせて99%の方が実際にお逢いして、初めから面と向かってやりとりをしている方々です。残り数人の方でも、何度も実名でメールをやりとりさせていただいていたりする方ばかりなので、ハンドルネームで呼びあうような方は1人もいらっしゃいません。仕事の依頼がメールで届くこともありますが、打ち合わせはほぼ必ずお逢いすることにしています。
 冷たいディスプレイから人間の熱が伝わるとは、到底思えないのです。それにテレビと同じで、ディスプレイに映っていない部分にこそ、その人物の真の姿が隠されているように思えて仕方ありません。

 とはいえ、実際にインターネットを介して親しくなった方もいるので、そういう人間関係に100%懐疑的という訳ではありません。しかし、そういう出会いをしても、最終的には実際に必ずお逢いしてお話をしています。基本的に、直感でお茶などをご一緒させていただきたいと思うかどうかが、私の基準になっているようです。幸運なことに、今までこの直感が外れたことはないですね。
 この辺りの話、もう少ししたら別項目でアップさせていただくことになるでしょう。

 このノートを拝読していて、昔話を思い出しました。これはYuji村上さんへの懺悔でもあります。
村上さんの芸名が何故“Yuji村上”となったかと言うと、実はこれには深い理由があるのです。
 もう、かれこれ15年くらい前の話になりますか…。

 分かりやすい理由は、こうです。村上さんが考案した輪ゴムを使ったマジックに「Jump Switch」という素敵な作品があります(村上さんが付けた本当の作品名は「Jumping Attack Rubber Band」と言いました)。スタンレー・コリンズ氏の古典的な「飛び移る輪ゴム」を一捻りした作品です。知らずにご覧になったら、きっとビックリされるはずです。

 この作品が、1995年に発売された、アメリカの天才クリエーターであり、輪ゴムを使ったマジックの第一人者でもあるダン・ハーラン氏が出演した3巻セットのレクチャービデオ『Magic with Rubberbands』(L&L Publishing刊)の中で発表されました(2002年にはDVD化されています)。
 その考案者として、本名の“Yoshitaka Murakami”になるべき所が“Yuji Murakami”と間違えてクレジットされてしまったのです。これが原因で“Yuji 村上”と名乗られるようになりました。

 深い理由をお話しするには、このビデオ発売から、さらに数年遡らなければなりません。
 アメリカのコインマン、ディーン・ディル氏が日本でレクチャーツアーをされた時のこと。関西地方でレクチャーをされたとき、村上さんがこの作品をディル氏に見せました。
 すると、氏はこの作品に大変興味を持ったようで「今、友人のダン・ハーランが優れた輪ゴムを使ったマジックを探しているんだ。世界中から素敵な作品を集めて、それをレクチャービデオにするらしい。その作品をそこに載せさせてもらっても良いか?」と村上さんにお願いをしました。村上さんはその場で快諾しました。

 それからしばらくして、私の亡き親友であり素晴らしいマジシャンだった、この本にも何度も登場する上田勇さんから私の家に電話がかかってきました。
 内容は上記の話のいきさつと「で、村上くんの輪ゴムのマジックを英訳してほしいんやけど、えぇかな? 簡単な解説と写真を送るからよろしく! その翻訳をディルさんに転送するからね」というものでした。
 この話を忘れられないのは、この英訳が非常に苦労したからなのです。まず、この輪ゴムの作品、私は実際に見たことがありませんでした。村上さんから実際にこの作品を見せていただいたのは、この英訳が終わってかなり後のことでした。

 こうした輪ゴムのマジックを、文章から覚える難しさときたら。あやとりを本から学ぶのと、あやとりを一緒にしながら誰かに教えてもらうのとでは、その覚えやすさには雲泥の差があります。これと同じことです。
 上田さんが書いた解説のメモがかなり簡単で、写真も「使い捨てカメラ」で撮られたちょっとピンボケな数枚しかありません。仕方ないので、上田さんに電話をかけて、あれはああなのか、これはこうなのかと質問しながら現象を再現して、簡単なメモに注釈を入れ、それから自分なりに英訳をした覚えがあります。

 そして、数日をかけて英文解説が完成しました。そこで初めて、村上さんの下の名前を知らないことにハッと気づいたのです。
 当時、村上さんには“Pon 村上”さんというニックネームがあり、私は村上さんと知りあった当時からずっと“Ponくん”と呼んでいたのです。また村上さんの本名の名前の読み方が難しいのです。
 そうしたら、随分前にどなたかから「彼の下の名前は“ゆうじ”だよ」と伺った覚えがあったのを思い出しました。そして、英文原稿のクリエイターの名前の所にとりあえず“Yuji Murakami”と書いて上田さんに送り返しました。
 上田さんには後で電話をして「村上くんの名前、違ってるかもしれないから、一度チェックしてね」とお願いをして、彼も「わかった!」と言ってくれました。
 そして月日は流れ…このレクチャービデオのセットを手に取ったのです。この酷いミスクレジットを見つけたときのショックたるや…。
 慌てて上田さんに連絡をしたら、「え、そうやったっけ?」と一言。あまりにあっけらかんとした返事に、私は笑うしかありませんでした。

 その後、ダン・ハーラン氏の通訳を行った時に、彼に直接このミスクレジットの話をして、村上さんの本名を書いたメモを彼に渡しました。思いも寄らないこうした複雑な事情を知った彼は笑いながら「分かったよ。じゃあ、発売元のL&Lに言っておくからね!」と言ってくださったのですが、結局DVDになってもクレジットは訂正されませんでした。

 ここで改めてお詫びと訂正をさせていただきます。あの作品は“Yoshitaka Murakami”さんの作品です。皆さまの中でこのレクチャービデオ、DVDをお持ちの方がいらっしゃいましたら、パッケージに印刷された名前を是非ペンで書き換えておいてください。よろしくお願い申し上げます。
 そして“Yuji 村上”さまには、改めて深くお詫び申し上げます。上ちゃん、君も一緒に天国から頭を下げるんだよ!

 このノートに興味のある方は、もう少しお待ちください。11月の中旬から大阪のフィールズマジック・エンターテインメント社クリエーターズ社などのマジックショップで発売が開始されます。
 秋の夜長に練習しながら読むには、最適なノートだと思います。派手な見た目に誤魔化されない、本物志向の皆さまにお勧めします。

Hotel Hightower Playing Cards

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 ここ数年、いろいろ新しいデックが登場しています。でも、結局どのデザインもYouth cultureを狙っているためか、どうも私的には気に入りません(話は変わりますが、『The Magic』誌に掲載する予定だったMagicとYouth cultureの関係の現在についての私なりの考察を、もう少ししたらアップしたいと思います)。

 結局、普段使いの“Tally-Ho”ファンバック、ここぞと言うときに使う“勝負デック”である“エルム・デック”と“Jerry's Nugget”(あまりの人気と値段のために、贋物まで出回ってるとか。信じられません)に落ち着いてしまいます。長年使い慣れたデックが一番安心、安全です。

 話によると“Tally-Ho”のファンバックを、発売元のUSプレイングカード社が廃盤にしてしまうようで、先日買い溜めしてしまいました。1980年代後半に“Bicycle”のニューファン・バックが廃盤となり、アメリカの西海岸在住のマジシャンたちが嘆き悲しんだことと同じ現象が東海岸で起っているようです。
 この時代のニューファン・バックは、最近生産されたものとは似て非なるもの。スムーズなエッジとしなやかな腰は“教授”ダイ・ヴァーノン氏をはじめアメリカ西海岸には多くの愛用者がいらっしゃいました。
(再版されたニューファン・バックもそうですが、どうして最近のカード・ケースに変な広告を印刷するようになってしまったのでしょう? カードケースに印刷されたカードの裏模様を使った、素敵なカードマジックが多数あるのですけれどね)

 アメリカの東海岸に在住するマジシャンたちの多くは、“Tally-Ho”の愛用者が多いのです。私の先生Jamyも東海岸出身なので、その影響で私も“Tally-Ho”愛用者となりました。 
 日本では前田知洋さんが使用されて有名になったサークルバックもありますが、ファン・バックのオリエンタルなデザインのファンも多いのです。私もその1人です。アメリカ在住の友人の1人は「サークル・バックも良いけれど、長年親しんだファン・バックからスイッチするには勇気がいるなぁ」と嘆いていました。

 最近発売された中でなら、一番のお気に入りはLee Asher氏が発売したLee Asher Cards 605シリーズ
 Slickな感じは否めませんが、クラッシーなバックデザインとスムーズなエッジは、古きよき時代のUSプレイングカード社のデックを彷彿とさせました。カードケースを開けて、すぐにFaro Shuffle(※)が出来たのにはビックリ。

※1組のデックを2つの山に分けて、その山の端同士を咬みあわせていき、1枚ずつが交互に差し込まれるように行うシャッフルのこと。両手の感覚だけでなく、デックの出来にも左右される、基本技法の中でも難易度の高い技法です。


(Faro Shuffleといえば、こんな記事がありました。12時間で2784回、Perfect Faroを行ったマジシャンがギネスブックに登録されたそうです。こんなこともギネスに登録できるんですね。ビックリ)

 スペインのFournier社のデックは、以前通訳でご一緒したタマリッツ氏もお気に入りとおっしゃていましたね。ついつい、緑と茶を1ダースずつ、お試しで買ってしまいました。
 11月にレクチャーで来日されるそうなので、参加される方は購入すると吉だと思います。

 さあ、表題のデックに話を戻しましょう。毎回、東京ディズニーシーへ出掛けるたびに1組買ってきます。人気アトラクション“タワー・オブ・テラー”のギフトショップで購入できます。1デック1200円。

 このクラシカルな裏模様が好きなんですよね。エメラルド・グリーンの色も悪くありません。通常のポーカーサイズのカードに比べると、縦に少し長くなっています。カードの質は悪くないのですが、ただ、マジック用としてはカードの腰がちょっと硬すぎかもしれません(パスとかスチュワート・ゴードンのダブル・リフトなどの、カードの腰に左右される高等技法を行うのは至難の業です)。滑りもあまり良くないかもですが、カードマジックの基本技法である“カウント”を行うには支障がないレベルです。
 Richardは「こんなの、マジックに使えないぜ」とキッパリ。酷いときには「S**ty Deck」なんて言う始末。

 なので、こうした高等技法を使わないマジックならば十分使用可能です。このデックのジョーカーは、このアトラクションに登場する呪いの偶像“シリキ・ウトゥンドゥー”になっています。通常のジョーカーは眼を見開いて覚醒した偶像が、エキストラ・ジョーカーは目を閉じた休眠中の偶像がデザインされています。
 この2枚のカードでカラーチェンジという技法を行いますと「呪いの偶像が覚醒する」というユニークな現象が出来ます。色の変化は微妙なので、カードをすり替えたように見えないのです。Richardが好きで演じていた方法を、以前『The Magic』誌 vol.70に解説したことがありました。

 このアトラクションでは、偶像が覚醒して消えてしまうというストーリーが展開されます。それをうまく再現できないかと、ちょっと考えてみました。

 「偶像の覚醒」に、私はLooy Simonoff氏の素敵なカラーチェンジ「Flipperant」ムーブ(初出は奇術専門誌『Apocalypse』1978年9月号)を行っています。デックの上で右手の指先をパチンと鳴らすミスディレクションの下で私は行っています(話は変わりますが、デックの上に1ドル銀貨を乗せてこの技法行うと、見た目信じられないカラーチェンジを行うことが出来ます)。

 そして、呪いの偶像の力を見せようと、マックス名人の「仮面」を私が好きな方法で行います。第2段のカードの変化と、最後のクリーンナップを私好みの方法に変えています。パケットで即席に行う「Universal Card」の中でも傑作です。これは名著『パケット・トリック - 手品から超不思議現象まで』(マックス・メイヴェン著、Ton・おのさか和訳、東京堂出版刊、2005年)に掲載されています(え、版元で品切れ?? でも、オンライン書店や大きな書店で捜せばすぐに見つかります
10月29日追記:Nさん、ごめんなさい!品切れじゃありません。ちゃんとこちらにありました!)。

 クライマックスは、イギリスの奇才、ジェリー・サドウィッツ氏が考案した「Out of Sight」(自費出版、2003年)で〆ます。

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 現象は、まずジョーカーを4枚のキングで囲み、さらにジョーカーの上には観客に指を乗せていてもらいます。観客に目を閉じてオマジナイを心の中で唱え、カードを押さえていた指を持ち上げてから目を開けてもらうと、なんと指で押さえていたはずのジョーカーが忽然と消えてしまっています。カードが消える直前まで、観客はカードを指で押さえつけていますので、何かおかしなことが起ったようには思えません。

 この作品が解説されたパンフレットは大変ユニークで、イラストから本文まで、すべてがなんとサドウィッツ氏の手書き(Mr E.OZOというペンネームになっています)。原案から改案まで全13手順が解説されています。今はどうやら品切れになっているようです。
 大変賢い原理を使って、ありえないカードの消失を実現させてしまいました。このマジックをやられたら、昔あった折り紙のだまし舟を初めて体験したときのような気分を味わえます。

 残念ながらこの作品も、ある日本の専門書に無許可で解説されてしまっています。最悪なのは、こういうことがあまりにも多く起こってしまったので、サドウィッツ氏はここ数年、作品の発表をしなくなってしまいました。素晴らしい創作家の作品が、こうした行為によって発表されなくなるっていうのは、どういう事なんでしょうね? 私にはよく分かりません。
(10月27日追記:以前、氏のウェブサイトでこうした内容の文章がアップし、氏の冊子の発売も中止していました。今現在はこの文章は消されて、氏が発行している奇術専門誌『Crimp』の最新号を少しだけ発売しています。要パスワードのページなので、リンクは止めておきます。
ただ、氏が以前に比べて活発に作品の発表をしなくなった事実は否めません)


  私はジョーカーは元の家に戻ったとして、表向きになったジョーカーが裏向きのデックの中央から現れるオチにしています。
 基本的にデックを表向きにして観客に晒さないので、デックの中にあるエキストラジョーカーを見られることはありませんし、その位置を追うことも簡単です。また、この最後の手順を行うと観客は必ず表向きに現れたジョーカーに手を伸ばすので、その間にエキストラジョーカーを処理することも可能です。

 結構豪華で、ディズニー好きな若い女性には結構受けが良い手順になったと思います。この手順、私の最近のお気に入りで、誰かに何か演じるようにお願いされるとこの手順を行うことが多いです。
 ギミックカードは一切使用しないので、最後はデックをプレゼントしても喜ばれますよ。

Mexican Joeの愉悦

 今日は久々に私が暮らすこの地方在住の女流マジシャンM嬢とお逢いして、私、妻のCathyと共に街の郊外へ出掛けました。

 M嬢は、マジックの国際コンテストの1つでゴールドメダル(総合優勝)を獲得されたステージマジックの名手です。それだけでなくWebデザインや翻訳、ハンドクラフトなどにも精通された才女。文章も達者で、大変面白いブログも開設されています。彼女が製作する毛花の花束は、私見ですが世界中どこにも見当たらない逸品だと思います。M嬢の舞台経験が生きた、まさにプロのための道具というものです。

 彼女とはかれこれ10年近くのお付き合いになりまして、お逢いするたびに長いお茶会を開いています。いつも、マジック周辺の与太話などが炸裂してしまいます。最近では彼女のウェブサイト用に紹介文なんかを書かせていただいたり、M嬢にはこのブログについての相談をしたり。独特な視点を持った、大変ユニークな女性なのであります。

 私が住む政令指定都市から車で約30分ほど移動。目的のお店の名は「The Joshua Tree」。
 この地方では珍しい、本格的な“TEX-MEX”(アメリカ南部、テキサスの料理とメキシコ料理が合体して出来た、アメリカ風のメキシコ料理のこと)を提供するお店です。アメリカではポピュラーな料理でよく食べに行っていたのですが、日本ではあまりポピュラーではないんですよね。
 東京の青山周辺にあるお店にはよく出掛けていましたが、この地方に来てからは、まったく食べたことがありませんでした。

 美味しい物好きの友人が「友達に連れられて行ったけど、凄く美味しかったよ~」と以前言っていて、まったく関係のない、これまた美味しい物好きのM嬢からも「ここはオススメですよ~」と聞いたからには、これは行かなくっちゃということに。

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 素敵な玄関! もうすぐハロウィーンなので、そのデコレーションなんかもあって賑やかな感じ。この時点で、オラ、なんかワクワクしてきたぞ!

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 店内も素敵な内装。これはすべてご主人が自分で作られたそう。何て凄い! 
 また、テーブルと椅子が良い感じなんです。北米と南米がマッシュアップされた空間なのですが、店内の居住まいには落ち着きがあって、ゆったり過ごしたくなる空間になっています。店内はゆっくりと時間が流れています。
 店内のBGMもエリック・クラプトンの「Unplugged」など、お店の雰囲気にあった曲をセレクトされ、煩くない感じで流れているのでこれも素敵なんですよね。

 今回初めてCathyとM嬢が逢うことになりまして、その挨拶なんかをしながら、早速ちょっと早い夕食を注文。

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いろいろオーダーしてシェアすることにしました。

 まずはナチョス。

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 トルティーヤチップス(トウモロコシの粉で作ったチップス)の上にチリビーンズのソースとチーズをのせてオーブンで焼き、その上にワカモレ(アボカドを潰して作ったソース)、サルサ、サワークリームが添えてあります。
 パリパリのトルティーヤチップスの上にかかった、とろりととけたチーズとピリ辛のチリソースが絶妙のコンビネーション。これにワカモレやサワーソースの酸味が入ると、爽やかに味が変化します。チップスのパリパリした所と、ソースがかかってしっとりした所の食感の違いも良いなぁ。このお店のワカモレ、非常に美味しいです。
 これはビールがすすむ君です。

 続きまして、トマトのサラダ。M嬢が「ビックリしますよ~」と言っていた通り…

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どーん!

 普通トマトサラダなんて言いますと、トマトが3切れくらいが申し訳程度についているだけですが、ちょっと大きめにカットされた3つ分くらいのトマトがどっさり盛られています。写真だと分かりにくいですが、このお皿は結構深めです。ここのお店、全体的に盛りが凄いです。
 酸味と野菜の甘みが素敵なアメリカ風のドレッシングなんですが、そこにアンチョビの風味が効いていてとても美味しい!

 男前のオーナーシェフ、カズさん曰く「本当は大葉を刻んだものをかけると最高なんですが、和風になっちゃうんですよ。TEX-MEXを謳ってるんで、流石にそれが出来ずに残念です」とのこと。確かに大葉は合うと思います!!
(スイートベイジルだったら良いんじゃないでしょうか??>ご主人)

 続いてやってきたのが、テキーラライムチキン。チキンをソテーして、テキーラの香りをつけてあります。

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 これにライムを絞っていただきます。柔らかいチキンにテキーラの香りが合う! ライムの爽やかな酸味でまったく脂っこくないのです。
 一緒に提供されるトルティーヤ(トウモロコシの粉から作った平たいパンのようなもの)にチキン、メキシカンライス、サラダを全部乗せして、くるくる巻いてパクリ! これはなんて贅沢な味。しっかりしたチキンソテーなのに、パクパク頂けてしまう危険なロールです。

 お次は、エンチラーダス。

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 炒めた牛肉と野菜をトルティーヤではさみ、その上にチリソースとチーズをかけてオーブンで焼いたものです。上にサワークリームが添えられています。
 絶妙な味付けの牛肉と野菜、チリソースが複雑な味わいを口の中で醸し出します。このお店のチリソース、味わい深いですね。サワークリームを一緒にすると、これがさっぱり戴けます。

 その次が定番、チリコンカーン。トルティーヤチップスの上に刻んだトマトとチリビーンズのソースをのせて頂きます。

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 もう、ビールがどれだけあっても足りません。

 今日の絶品、モーレチキンです。

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 この赤茶色のソース、チョコレートをベースにしたソース(モーレソース)なんです。そう聞くと一瞬ビックリしますが、全然甘ったるくはありません。チョコの甘味と苦味、チリの辛みが絶妙に合わさった中にナッツの香ばしさが効いています。野趣豊かなチキンソテーにベストマッチです。これは素晴らしく美味しい!!
 ご主人のお話によると、ソースに合わせる素材によって、ソースの味が激変するそう。エビのソテーとかビーフのソテーとかでも本当に美味しくいただけるっていうのは、納得。次回もチャレンジしたくなります。

 これも先程と同じく、トルティーヤの生地の上に全部乗せして頂くと、「最近何か良いことしたのかな?」と誰かに感謝したくなるほどの至福が訪れます。
 絶品のチキンを頂きながら、映画『ショコラ』(2000年)に登場した、ローストチキンにチョコレートソースをかける、何とも涎が止まらないシーンを思い出しました(真面目で素敵な映画でしたね、この作品)。あの映画のソース、これだったんだと初めて分かりました。

 Cathyにとっては、初めてのTEX-MEX。小学校時代、この政令指定都市の小学校に通ったことのある人なら絶対に記憶に残っている、給食で出たお世辞にも美味しいとは言えないチリコンカーンを食べて以来、メキシコ料理アレルギーになってしまっていました。しかし、ここのお料理は「これは美味しい!今まで損してた!!」と言いながらすべてパクパク食べていました。
  
 さあ、もちろんデザートまで頂かないと、ディナーは終われません。

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 こちらのお店で提供されているすべてのケーキは、器量よしで可愛い奥さまであるリサさんによるハンドメイド。

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(これはリサさん特製、ハロウィーンクッキー。めちゃくちゃ可愛い)

 いろいろ迷ったあげくに、私は「パンプキン・チョコチーズ・ケーキ」を。

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 しっかりとしたレアチーズにパンプキンの甘さが合う! チョコレートも丁度いい塩梅。このケーキ、パンプキンの分量を決めるのが難しいはずなんですが、素晴らしい出来栄えです。相当腕が良くないと、これは出来ません。ベースのオレオ生地との相性もバツグンです。

 M嬢とCathyは、クランベリ-・シフォンケーキを。

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(うわ、写真が暗くて申し訳ありません…)

 これ、盛りが凄すぎます。ご主人曰く「アメリカ風なんだから、アメリカンケーキらしくしないと」とのこと。 どれだけ男前なんでしょう! 
 クランベリーが入った、ふわっふわのシフォンとクランベリーソースが最高です。ここまでシフォンがしっとりふわふわならば、生クリームを添えなくても十分じゃないでしょうか?(生クリームを添えるのは、シフォン生地が乾燥しているのを誤魔化す部分が大きいのです)シフォンケーキだけを見ても、リサさん、相当な腕前です。

 食後、珈琲を飲みながら、M嬢に頼まれていた件を処理したり、M嬢からブログのトピックスを頂いたり、マジック周辺の与太話をしたり、ご主人には門外不出のモーレソースの作り方をじっくり教わったり、“主腐”でもあるCathyとM嬢は初対面にもかかわらず漫画の話で大いに盛り上がったり、気がついたらもう店外は真っ暗に。一体、何時間滞在したのでしょう?
 居心地の良い空間で、素晴らしいお料理を頂き、楽しい話に花が咲き、良い時間を過ごすことができました。

 カードマジックの基礎用語の名前で有名な、伝説のギャンブラーMexican Joeも、こんな美味しい料理を食べていたのかな?なんて思ったりして。

 帰り際、お会計でもビックリ。これだけ頂いて、お腹いっぱいになって、お一人様2500円。計算が間違っていないか確認した程です。このコストパフォーマンスは凄すぎます。ご主人の男前さには、男の私でも惚れ惚れしてしまいます…そりゃ、あんな素敵な奥さまをゲットできるはずです!

 ご主人は神奈川にある名店で、メキシコで腕を磨いた大将の下で修業されたとのこと。お二人とも地元の方ではないので、接客がこの地方独特のベタベタした感じではない点も大いに評価できます(この地方の接客、たまに煩く感じるときがあるのです。たまには放っておいて欲しいときもありますからね)。

 お近くの方は、是非どうぞ。ランチも1000円前後で、大変お得です。味は本場にも負けないと、私が太鼓判を押します。
 ちょっと変わった異国情緒たっぷりのご馳走を、仲間とワイワイお楽しみください。

・The Joshua Tree 愛知県江南市前飛保町寺前117 Tel :0587-56-6201 月曜定休
(道が複雑なので、車以外の方は名鉄江南駅から素直にタクシーを使った方が吉でしょう)

追記:食後に満足していたら、M嬢に「yukiさん、体格が元に戻りつつありますね~」と言われてしまった…。Cathyから「明日から食事制限をします」宣言が…。現実は厳しいのであります。


Drink Me !

『アリスは“のんでみて”と書いてある瓶を取り上げました。“のんでみて”とはっきりかいてあるけれど、かしこいアリスは、急いでそんなことをする子じゃありません。
「だめだめ、最初に見てみなきゃ。“毒”ってかいてないか見て確かめないとね」とアリスは言いました』
ー「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル著(拙訳)


 私は賢くないので、好奇心が出てしまうとついつい飲んでしまうんですよね。
 一昨年はキュウリ(キューカンバー)、去年はシソ、そして今年は…。

 勘が良い方はもうお気づきでしょう。今年も限定販売の変わり種ペプシの発売日を迎えてしまいました。

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 じゃーん。

 今年は“あずき”です。
 私の住む地方都市は、小倉あんの文化があります(小倉トーストなんてご存知でしょうか? 最初はビックリしますが、美味しいんですよ。バターのしょっぱさとコク、そして小倉あんの甘さ、トーストしたパンの香ばしさが絶妙のバランスを口の中で産み出します。お、リンク先にある小倉トーストの写真、先日お話ししたコメダ珈琲店のものですね)。
 私もそれに倣って、こしあんも粒あんも両方とも大好きです。でも、あずきとコーラのマッシュアップというのはまったく想像できません。

 うわ、この色! あ、こないだのショックを思い出してしまいます。妻のCathyは「まただ、まただよ」と先日作ったトラウマを思い出してしまったようです。
 キャップをネジって、香りをクンクン…あ、何か馴染みのある香り。これ、井村屋のあずきバーとか、ゆであずき缶のそれにそっくり! 本当にあずきなんだ…。

 さあ、グラスに注いでみましょう。

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 まあ、綺麗な小豆色!(怖) 今回はコーラに雅さを取り入れたそうです。何を言っているのか、まったく意味が分かりません。

 さあ、覚悟を決めて一口飲んでみましょう…ごくごく…。
 あ、あれ? おかしいなぁ。もうちょっと…あれ、味覚障害になったのかなぁ…もう一口…え、もしかしたら、そんなに悪くないんじゃないの !?

 去年、一昨年が腰が砕けそうになる程の味わいだったのに比べたら、味としてはかなり向上しています。上品な感じで甘さが控えめなのが良いですね。でも、ペプシ独特の味が感じられない…。

 Cathyも私の反応を見て安心したのか「一口飲ませて」と言うので飲ませてみました。すると「あ、まだ飲める。この味、井村屋のあずきと炭酸水、そうだなペリエが良いかな、を割って、少し生姜の絞り汁を入れたら再現できるんじゃないの?」なんて言いました。
 でも、暑い夏にこんな飲み物がおやつで出てきたら、グラスを床に叩き付けない自信がありません。

 なるほど、今年はこう攻めてきましたか。何やら今年は変わり種の大人向け飲料がブームのきざしを見せているそう。
 賢くない私は、また得体のしれない飲み物に手を伸ばしてしまうのでしょうか?

秋のマカロン

 前のビタミン・ウォーター・ショックがあまりにも衝撃的すぎたため、これは本格的に口直ししないと!と妻Cathyと共にDalloyau(ダロワイヨ)の旗艦店へ。

 いつも通り、目移りしてしまうほどの美味しそうな御菓子が沢山。いろいろ品定めして、やはりここはマカロンでしょう!とCathyとの意見が一致。秋の限定がいくつか登場していたので、早速それを購入。
 本当はここのサロンで絶品のホットチョコレートを頂こうか迷ったのですが、最近カロリー摂取が高すぎるというCathyの一言で泣く泣く退散。

 そして、我が家で頂きました。

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LUPICIAのルイボスティー、ハチミツとベリーでやさしい香りのついたPICCOLOを煎れてみました。
 ルイボスティー、今まで余り飲みませんでした(木の皮を煎じて飲むなんて、最初は信じられませんでした)。しかし、Decafe(カフェインフリー)なので、寝る前でも目が冴えることもなく、最近は愛飲しています(でも、健康ブームで注目されてから、急に価格が高くなりましたね…以前、友人のアフリカ土産で頂いたとき、値段を聞いてあまりのお値打ちさにビックリしたのもウソのようです)。
 これから寒くなる季節には、我が家のお茶には良く登場することになるでしょう。

 私がチョイスしたマカロンは、10月の限定キャラメルブールサレと定番のカシス。サクサクの外側ととろけるような中のクリームが、いつもの通り絶妙です。キャラメルは濃厚で懐かしいキャラメルの感じと甘い香りが素晴らしく、カシスはその爽やかな香りと甘酸っぱさの調和がたまりません。
 Cathyがチョイスした定番のバニラとテ・ヴェール(抹茶)も中々。秋の夜にマッチした、ちょっと大人な感じの味わいです。

 寝る前にこうした素敵なお菓子を頂くと、すぐにスヤスヤ眠れる不思議。さあ、明日もがんばりますか。

This is the story about you.

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 「英語を覚えながらマジックを学べる」という、英語とマジックの初心者を対象にした真面目な本の最終校正を終え、赤ペンで真っ赤に修正した校正原稿を出版社へと送りだし、ホッと一息ついていたある日のこと。突然、自宅の電話が鳴りました。それは私の担当をしていただいた編集者、Wさんからでした。

Wさん「yukiくーん、や、やっと本ができたね! よ、良かったね!」
私『すべては御社随一の切れ者、Wさんのおかげです<(_ _)>』
Wさん「ξ*〃〃)ξ<そ、そんな持ち上げても、な、何もおごらないからねっ!…ツ、ツンデレじゃないからねっ!」(注:ちなみに、Wさんは高校生の娘さんをお持ちの良きマイホームパパです)
私『なーんだ残念(´・ω・`)…そういえば、本のタイトルどうしましょうね? 腰巻き(注:本に巻かれている広告の帯のこと)のキャッチコピーはあれで良いとして…』
Wさん「あ、あのね、も、もうタイトルは決まったよ!(≧∇≦)b 」
私『へ?(°口°;) なんにも聞いてないですよ?』
Wさん「売れるように願いを込めてうちの営業の人が決めてくれたよ! 良いタイトルだよ! その名も…」
私『(ゴクリ…)その名も…』

Wさん「『英語でペラペラマジック』! どうどう??(^-^)V」

私『Σ(゚Д゚;|||) …マジっ…すか?』
Wさん「うん、も、もうこれで入稿しちゃったから。ぜ、絶対売れるよ~!ヾ(>▽<)ゞ」

 あまりに突然の告白に意識が薄れていくなか、この何とも軽く、胡散臭さとツッコミどころ満載のタイトルにどこから突っ込もうかと考えていました…。
 そして私の著作 『英語でペラペラマジック』(東京堂出版刊、2006年)が上梓されました。はい、このやりとりは本のタイトルが決まった時の実話です。あぁ、もっと格好良いタイトルが良かったです。でも、今では話のネタとして重宝しておりますので、逆に美味しく思っております。

 この本が企画されたきっかけは、偶然の出来事でした。この本の出版がされる数年前、素敵な女流マジシャンのYさんと同じ出版社の編集Nさんと私の3人で呑みに行くことになりました。
 すると、Yさんの大ファンである編集者Wさんがこの呑み会の話を聞きつけて、急に合流することになりました。

 呑みながら話している間に、マジック絡みで一般書作ったら面白いんじゃね?なんて話になりました。
 「マジックでダイエット(シルクの振り出し100本で、あなたの二の腕がほっそり!)」とか「マジックで腰痛が治った!(イリュージョンのインタールードを使用)」、「マジックで視力アップ!(カードマジックの技法グリンプスを1日1回15分)」や「マジックで宝くじをゲットだぜ!(君はデレン・ブラウンか!)」などなど、次々とみんなで怪しい企画を立てている間に、Yさんが「マジックで英語をマスターなんてどう?…なんてね!」という発言をされました。
 それに急に反応したのがWさん。Wさんは英語学習関連の本の編集のプロで、一般の読者が英語に馴染むための本を企画したいと常々思っていらっしゃったそうです。「そ、それ良いね!yukiさんは翻訳とマジックの両方得意でしょ? き、企画書を書いてもらえないかな?」これで決まりました。あまりに突然の出来事でした。
 でも、実はこんな本を書いてみたいなぁと思っていたのです。

 この本を執筆した理由の1つは、この本の冒頭に書いたように、私のように英語が苦手な方にちょっとでも英語と付き合える(決して無理に好きにならなくても良いと思います。無理なものは無理ですから)、そのきっかけになる英語の入門書を書いてみたかったということがありました。
 もし、英語が苦手で、あれだけもがき苦しんだ自分の学生時代に「英語が辛い? 気にすんなよ。大丈夫、僕を見てごらんよ。これでも何とかなるんだぜ!」と肩を叩いてくれるような本と出会っていたら、どれだけ精神的に楽になったことか。
 もし今、仕事や学校などで義務として英語とどうしても向きあわなければならず困っていらっしゃる、そしてマジックにも興味を持たれている皆さんの肩をポン!と微力ながらも叩けたら良いな、と思ったからです。

 それに加えて、ある決定的なきっかけがありました。この話が出るほんの数週間前の出来事でした。

 私の友人にJさんという方がいます。彼は生粋のニューヨーカー。自身のプライベート・ブランドを立ち上げ、新進気鋭のデザイナーそしてアーティストとして、現在は東京を中心に大活躍されています。
 彼とは共通の友人を通じて、ニューヨークで知り合いました。洋服のセンスが素敵(デザイナーだから当然ですね)、いわゆるイケメン(なんとモデルとしても活躍中)、なおかつ性格が良くって話も面白く、おまけに賢く勉強家という完璧超人。
 日本のサブカルチャーに興味があり、小津安二郎監督などの古きよき時代の日本映画(実は小津映画は大変モダンだ、という話題で盛り上がりました)や日本のCMデザインの話などを二人でよくしていました。
 彼はマジックが大好きで、私の先生Jamyの下でマジックを習っていたこともあり、たちまち親しくなりました。
 さらに凄いのは、彼はマジックの腕前がバツグンなのです。マジックの歴史や知識にも明るく、技術もさることながら、彼が考える演出は大変賢いものでした。デザインや近代美術の研究を長年されていたこともあり、マジシャンが思いもつかないような切り口でマジックの演出や演じ方を考えていらっしゃいました。
 また、ギャンブラーが行うイカサマのテクニックに精通していて、彼の行う「バハマ・ディール」という超絶技巧の応用は、まさに眼福でした。

 Jさんが、日本人の奥様とニューヨークから東京へ引っ越してくることになりました。東京のマジックショップを教えて欲しいということで、彼が引っ越してきた後にいろいろな有名店を巡り、楽しい一日を過ごしました。
 マジックショップを案内した後日、彼から電話があり、一緒にお茶を飲みに行きました。そこで、彼からこんな話を聞いたのです。

 Jさんは仕事の途中で茅場町の近くに行ったので、その地にある有名なマジックショップへ立ち寄りました。
 店の中でマジックの商品や専門書を品定めしている時、まったく身も知らずの日本人の奇術愛好家の方から「君もマジックをするのかい?」と英語で突然声を掛けられ、喫茶店に行かないか?と誘われました。突然の話にちょっと戸惑いながらも、その提案を無下に断るのも悪いし、英語を話せる人のようだし、ちょうどお茶を飲みたかったというのもあり、連れ立って喫茶店へ行きました。

 席につくと、その愛好家の方は自己紹介代わりに名刺を1枚Jさんに手渡すやいなや、1組のカードを取りだし「ちょっと見てくれないか?」と言ってマジックを始めたそうです。   
 それは、ただギャンブルのテクニックを延々と行うだけのものでした。そう、Jさんはテーブルの上にカードを配っていくだけの作業をただ見ているだけ。しかも、明るい昼下がりの、周囲には多くのお客さんがいる喫茶店のテーブルで。
 周囲からの痛い視線を感じたJさんは、大変居心地が悪かったそうです。でも「もう二度とこの喫茶店には来ないだろうから」と苦笑しながらも、その様子を見ていました。
 先にお話しした通り、Jさんはギャンブルテクニックの素晴らしい研究者です。話をここまで聞いたとき「うわ、これ、なんて釈迦に説法!」と思いました。

 愛好家の方がひとしきりカードをテーブルの上に配り終えた所で、満足げな表情で「次は君の番だよ」と今使ったばかりの1組のカードをJさんに手渡してきました。彼は困惑しました。
 こうしたマジックの見せあいを、海外では"Session"と言いますが、これは親しいマジシャン同士が研究成果を見せあって技を磨くため、またはお互いの噂を知っていてお互いの仲を深める目的で行うものであって、いきなりこんな具合に、しかも初対面で衆人環視の下で行うことは聞いたことがありません。

 そこで彼は考え、彼がお気に入りにしているマジック、プロフェッサーと言う名称で世界中のマジシャンから尊敬されていたDai Vernon氏のあるカード・マジックを、彼独自の演出と共に演じました。そのマジックを私も見せてもらったことがありますが、方法を知らない方なら絶対にビックリする不思議なマジックです。

 件の愛好家の方は、Jさんのマジックを見て文字通り「開いた口がふさがらない」ほど驚いたようでした。多分、この愛好家の方は、Jさんがそこまで不思議なマジックを演じるとは思ってもいなかったのでしょう。しばらく沈黙が続きました。
 そしておもむろに、その愛好家の方が口を開きました。「それ、どうやってるの? 教えてよ!」
 Jさんはビックリしました。初対面の、しかも身も知らない人に、どうして自分が大切にしているマジックの秘密を教えないといけないのでしょう?
 流石のJさんもこれには参って「どうして教えないといけないの?」と愛好家の方に聞きました。すると、この愛好家はこう答えたのです「だって、僕たちはこうして友達になったじゃないか!」
 困り果てたJさんは仕方なく「ごめんなさい、僕とあなたは友達でも何でもありません」と言い、お茶代をそっとテーブルの上に置いてその場を去りました。

 この話を聞いて、私は愕然としてしまいました。

 Jさんは真面目な表情で話を続けました。
 「彼のテクニックは、まあ良かったと思うよ。でも、それはマジックじゃない。退屈な、ただのテクニックの披露、腕自慢さ。別に無理に英語を話さなくても良いし、難しいことを見せてもらおうなんて、僕は思っていないよ。ただ楽しませて欲しいと思うんだ。彼が何を感じ、何を思ってマジックを演じているのか。僕はそれを知りたいんだよ。
 世の中に簡単なマジックなんてないけれど、方法が単純なマジックでも演出一つで本当に面白いマジックになるし、その演出だけでその人の賢さは分かるじゃないか。yuki、分かるだろ? 英語が話せることが本当に凄いかい? テクニックが出来ることが本当に凄いかい? でも、相手と意志疎通出来なかったら最低だと思わないかい? 意志疎通できない人とは、僕は友達になんかなれないよ」

 普通、英語を話しながらマジックを演じる機会はあまりないかもしれません。しかも、英語を話すこととマジックを演じることは、演者にとって確実に大きなストレスを与えるでしょう。でも、それは日本語でマジックを演じても同じなんだと思うのです。
 折角、時間をとって自分のマジックを観ていただくのですから、相手に分かるような言葉を選んで、伝えるべきことや伝えたいことを確実に伝えなければならないのです。その上で、観客への配慮がなされないといけません。
 英語でマジックを試演していただくと分かるのですが、演者のストレスを少しでも軽減するために、伝える物事の優先順位が自ずと決まってきます。すると、演技の構成がハッキリと見やすくなるのです。ここで、初めて意志疎通ができるきっかけが生まれるわけです。
 それを無視して口と手が勝手に動いているだけでは、その演技は観客にとって、単なる視覚的、聴覚的な雑音にしかなりません。

 そのことに、この本をお読みになられた方には気づいていただきたい、と思ったのです。英語が話せることなんて実は二の次で、あなたと対峙している相手とマジックを通して意志疎通をすることが一番なんですよ、と。英語はあくまでそのためのツールに過ぎないのですよ、と。あなたが何かを演じたり、観客を楽しませること以前に、観客と意志疎通するこそがマジシャンがすべき最初の仕事なんですよ、と。そうするためには、観客に何を伝えたいのか、自分が分かっていないと意志疎通はできないんですよ、と。

 私は奇術愛好家の方向けというよりは、英語が苦手でマジックに興味のある一般の方のためにこの本を書きましたので、愛好家の方にはゆるい内容に思えるかもしれません。その通りだと思います。基本的なマジックを中心に解説しましたから。
 でも、こうした基本的なマジックも、何を伝えたいのか観客に伝わらなかったら、まったく意味のないものになってしまいます。それに、英語を話しながらマジックをするならば、手に意識が向けられなくても演じられるようなマジックを選んだほうが得策だからです。

(ちなみに、万一間違って買ってしまった愛好家の方のために、その方にも楽しめるようにこの本にはある仕掛けをしてあります。実際、何度か書店に立ち寄って、この本を使って友人、知人にその仕掛けを使ったマジックを演じたこともありました。その仕掛け、マジックショップでも入手可能なんですが、本に組み込んだ方が絶対に面白いはずです。もちろん、このアイデアの使用許可も頂いています。この仕掛けは、親友Richardにも褒められました)

 実際に、奇術愛好家ではない読者の方に「英語が苦手という著者の、その文章に励まされ、そして実際にマジックを演じてみたら、海外の方と話すきっかけ作りにもなりました。苦手な英語にちょっと慣れたかもしれません」と言っていただいたことがありました。
 読者の方からの意見で、これ以上に嬉しいことはありませんでした。筆者冥利に尽きるというものです。それこそが、私の狙いだったのですから。
 
 この本は「一体誰のための本なのか分からない」という奇術愛好家の方からの意見もあったようです。私はこう答えるだけです。

This is the story about you./これは君のことを言っているんだ
ー佐野元春「Visitors」

会社訪問

 「クイーン・オブ・ハートのバンケットホール」でお腹を満たした一行は、予めファストパスを取っておいた「Monsters Inc. Go Ride and Seek」へ出掛けました。

 ディズニー映画『モンスターズ・インク』の世界が忠実に再現された世界で、モンスターが住む街、モンスターシティーの住人であるモンスターたちとかくれんぼ("Hide and Seek"とかけているんですね)をして遊ぶアトラクションです。電気を消した街中を手元にあるフラッシュライト(懐中電灯)で照らしながら、モンスターを見つけていくのです。
 私と妻のCathyは初めてですが、Richardはもうすでに何度も乗ったらしく、「あれがこうなってて、ああなってて…」と詳しく説明してもらえます。日本に住んでいる私たち以上に東京ディズニーリゾートの情報に詳しく、流石に自ら「ディズニーオタク」と名乗ることだけはあります。
 
 モンスターシティーの電力会社、モンスターズ・インクのエントランスから受付へ向います。

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うわ、本物と同じだ!

 昔は人間の子供の悲鳴からエネルギーを取りだしていた会社とは、とても思えません。スタンバイの列に並ぶと、その辺りの話がうまくまとめられたアニメを見ることができます。ちゃんと「中の人」もそのままなので、その声を聞いただけでもワクワクしてきます。
(話は変わりますが、新しくNHKの教育テレビで始まった『新・三銃士』は面白いですね! 小さいほうの「中の人」がナレーションをしているのですが、味のあるナレーションなんですよね。演出も、流石、三谷幸喜としか言えません)

 そして「セキュリティートラム」という乗り物に乗って、いざ、かくれんぼ開始!
 まぁモンスターたちが可愛い、可愛い。主人公のマイクとサリーが走り回る女の子ブーを捕まえようと大騒ぎ。フラッシュライトをどこを当てていいか分かりません。また日本風なシーンも多く登場します。ワォワォ叫んでいると、あっという間に終わってしまいました。
 最後に登場する秘書のロズに面白いことをされました。これは皆さんが行ってからのおたのしみ。

 終わった後、Richardに「あっという間に終わっちゃったよ。フラッシュライトをいろいろ当ててたらモンスターを見逃しちゃったよ」と話したら、「ゴメン!先に話しとけば良かったね。フラッシュライトは3ヶ所くらいしか使わなくていいんだ。後は他のゲストが勝手に照らしてくれるからね!」とのこと。
 悔しいんで、もう一度挑戦。お、確かに他のゲストの方々が勝手に照らしてくれるので、フラッシュライトはそんなに使わないほうが楽しめるかも! Richard曰く、昔はもっとライドに乗っている時間が長かったようで、「みんな並ぶから時間をけちってるんだ!」と言っていました。こればかりは方針でしょうから仕方ありません。

 あっという間の4分間ですが、大変面白いライドでした。並ぶ列も短くて、こういう部分では雨の日に感謝というべきでしょう。

Glaceau Vitamin Water

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 地方都市に住んでいますと、東京限定というものは中々入手できません。遅ればせながら、やっとグラソー・ビタミンウォーターをゲットしました。2000年にニューヨークで初めて発売されたそうです。しかし、当時ニューヨークでしばらく暮らしていたのですがまったく知らなかったですね。

 まず、この色にビックリ。昔、小学生の頃に理科の実験で行った、赤キャベツから色素を取りだす実験をした後の鮮やかなビーカーの色が脳裏をよぎります。これでも着色料や香料、食品添加物などは無添加になっているとは。妻のCathyは「ダメだ…まず、色がダメだ…」とこの時点でギブアップ。

 で、飲んでみますと…うゎ、何とも例えようのない味!(笑) 去年飲んで腰が抜けそうになった、ペプシのしそ味を思い出しました(あれも形容しがたい味でした…)。
 Cathyに無理やり飲ませたら「ダメだ…味もダメだ…」と目に見えて分かる凹みよう。
 お互い出した結論は、わかった、これはインテリアなんだ、部屋に置いておくとなんて言うの、オシャレなんじゃね?というものでした。でも、このボトルが似合う部屋ってどんなんなんでしょう!?

 パッケージの注意書きとかが面白く、広告デザインも良く出来ているなぁと感心しました…つか、そこに力を入れる前に、もっと力を入れたほうが良い部分があるような…。

 私の住む地方都市で発売されたら、果たして人気は出るのでしょうか?

『デレック・ディングル カードマジック(コインマジックもあります)』うちあけ話

秘密の愉悦には、そのうれしさよりも怖れのほうが大きい
ープブリリウス・シルス

知るを控えてこそ、長生きもできるのだ。
ートマス・ハリス


 このブログの本来のメインコンテンツが、このカテゴリー“Can you keep a Secret?”です。今後は、このカテゴリーのエントリー(特にマジックの方法などに言及する場合)は限定公開のものが多くなります。

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 私の最新の翻訳本『デレック・ディングル カードマジック(コインマジックもあります)』(←これが正式名称です)について、様々なブログなどで取り上げていただいて大変感謝しております。

 今回のオマケの豪華さは、尋常ではありません。「可哀想なチャーリー」が付いただけでも凄いのです。そして、その上「共鳴するカード」用のギミックカードがまるまる1セット付いてこの値段というのはありえません。
 実際、著者であるRichardは「なんてCrazyなんだ!」と語り、旧友のPaulや先生のJamyにいたっては、ギミックカード欲しさにこの本を買いたいと私に言ってくる始末。
 最近では、これらのギミック・カードは、海外でも入手しにくくなっているそうです。

 ベテランの奇術愛好家の皆さまには、さすがプロというべき氏が残した骨太で手順構成の妙を感じさせる作品を、懐かしさと共に楽しんでいただけるものと思っております。
 デレック・ディングル氏の最大の功績の1つは、卓越した手順構成だと思います。今では一般的となった「Delayed Climax」と呼ばれる、クライマックスを見せて安心させた観客に、さらに隠し持っていたクライマックスを叩き付けるという手法を初めて取り入れたのは氏でした。  
 今では、ホラー映画や小説などでもお馴染の手法ですが、1970年代から1980年代前半には、まだこうした手法は他の芸術分野ではほとんど取り入れられていませんでした。
 それをマジシャンが何よりも先駆けて採用していたのです。これは称賛すべきことだと、私は思います。

 しかし、氏の演技をレクチャーDVDでしか見たことがない若い世代の皆さんには、ディングル氏の何が凄いのかピンと来ない方が多いでしょう。また、手順構成が失われた芸術となりつつある昨今では、それについても分からない可能性も高いと思います。
 残念ながら、氏の凄さが分かる映像はあまり残されていません。皆さんがご覧になれる可能性が高い映像が2つあります。
 1つは1974年に放送された『The Dick Cavett Show』というアメリカのトーク番組です。脂の乗りきったディングル氏が、プロフェッサー、ダイ・ヴァーノン氏とダグ・ヘニング氏と共に登場した回があります。ディングル氏はちょっと緊張した面持ちではありますが、脱力系のジョークを飛ばしながら彼の作品を演じています。特に、氏のパスの実演は奇跡です。
 もう1つは、1996年にフランスのドミニク・デュビビエ氏のショップから発売された『Paris Super Session』というレクチャービデオです。通訳が入るために実際の演技とは違いますが、でも氏はリラックスしており、ディングル氏らしいジョークを飛ばしながら素敵な演技をされています。ジョークは下らないのですが、それを言うタイミングが素晴らしいのです。
 このうちいずれかをご覧頂ければ、氏の凄さと深みがじっくり理解できるでしょう。
 一般にも演技をするプロが、一般向けマジックとマニア向けマジックの差をきちんと理解して演じる「マニア向けマジック」には、凄まじい破壊力があるのです。
 プロとしてのディングル氏は、生涯、6つのマジックしか演じませんでした。しかも、愛好家の皆さんが良くご存知のマジックです。しかし、それらのマジックを世界中の誰よりもうまく演じられていた事実をご存知でしょうか?

 問題はどうやってこれらの映像を入手するか、です。是非、あなたの周囲にいらっしゃるベテランの方にお願いしてみてください。きっと、映像を持っていらっしゃる方は存在するはずです。

 2000年にニューヨークで偶然ディングル氏とお逢いする機会がありました。ディズニー映画『クマのプーさん』に登場する物知りフクロウの“オウル”に似た風貌の、茶目っ気のある、本当に素敵な方でした。当時の想い出も、追々このブログでお話しすることに致しましょう。

 あるウェブサイトで「本書に未掲載のディングル氏の作品は、発表に堪えない」と書かれていた方がいらっしゃいました。 
 本書未掲載のディングルの作品の多くが「発表に堪えない」という訳ではありません。もっと言えば、本書に収録された作品でも、数々の傑作に比べると見劣りのしてしまう作品もチラホラ見受けられます。この本はRichardが若かりし日(まだ20代前半)に製作された、彼による3冊目の本だった事実も忘れてはならないでしょう。

 氏の作品で「これはちょっと…」というものは、今から30年ほど前に発表された「Innovations」シリーズ(ニューヨークのチャールズ・レイノルズ氏との共著)という4冊の小冊子に収録された作品が有名だと思います(本書の中でも、ダメだった作品として触れられています)。
 この小冊子、「名人によるポーカーの実演」などの作品が、誰でも演じられるように方法を簡単して解説されています。しかし、実際は方法が改悪されているのです。私も試してみたのですが、その改悪された方法で演じてみても、ちっとも不思議に見えませんでした(ちなみに本書には、この小冊子に発表された作品の本当の方法がすべて解説されています)。

 本書に収録されていない作品でも、革命的なシガースルーコインの手順「New Weve Cigarette Through Quarter(初出は80年代半ばにテキサスのディーラー、Mystic Madness社が発売した"Smashed Coin"という商品の解説書。後に『Richard's Almanac』最終刊、1985年冬号に転載)」や、少し前のGenii誌に発表された氏のハンドリングによる実戦的な「マクドナルドのフォアエース」、絶品だった「上着が要らないリング・フライト」そして「アンビシャス・カード」(共に『Derek Dingle's Last Notes』サイモン・ロヴェル、リッチ・ムラータ共著、Palooka Productions刊、2004年に掲載)、実戦向けでプロ仕様の「レモンに通うカード」(以前『The Magic』誌 vol.71に私が翻訳した記事が掲載されました)、名作パケット・トリック「オーストラリアン・ポーカー」(1970年代に単品で販売されていました。パケットで行うオールバックの中でも演出、ハンドリングともに傑作の1つだと思います。難易度が高い手順なのですが、氏が演じると飄々とした軽い小品奇術に変化します)などの名作が揃っています。

 Richardと話して面白かったのは、この本に関して彼が唯一後悔しているのは「題名」だったのです。「まだDerekが亡くなってもいなかったのに、“Complete works”にしたのは失敗だったよなぁ。この本が出版された後にも素晴らしい作品がちょいちょい発表された訳だし“Collective works”とするべきだったんだよなぁ…」と私に吐露しました。この話、彼は今までどこにも話していないと思います。

 そして、実際にはディングルの未発表の作品はまだあるのですが、残念なことに記録として残されていないために、忘れ去られてしまった作品も数多くあるようです。 私の先生Jamyは、今回の翻訳に際して、そうした現象だけが残っている氏の作品のいくつかを教えてくれました。

 Richardが教えてくれたのですが、彼自身、あまりマジシャンに自分のマジックを教えたくない、という気持ちも出版当時あったようですね。理由は、折角教えても、タネを知りたいだけで、ちゃんと演じてくれる人が皆無に近かったからだったそうです。
 そのために、本書に収録されていても、ディングル氏が本当の方法を他のマジシャンに教えたくないと拒否したり、その方法が他のマジシャンの未発表の方法だったりしたために、わざと違うハンドリングで解説されている作品がいくつかあります。
 そのために実際の方法よりも難しくなってしまったマジックも、本書の中にチラホラと散見されます。ちなみに、Richardの著書『Card Works』(1981年)の中に収録されている"Dazzle Snap Aces"という手順も本来の方法ではありません。
 それらの作品の本当の方法についても、折々この「Can you keep a Secret?」のカテゴリーでお伝えしていきたいと思います。

 でも、ディングル氏ご本人は、真摯に技法や作品について質問されたり、見せて欲しいとお願いされると、惜しげなく技法を見せたり、質問に答えたりしていただけました。それは、Richardが10歳代の頃から私がお逢いした頃まで変わることはなかったと思います。

 あと、いろんな方面から「現象が最初に書いていないので分かりにくい」という意見がありましたので、ちょっとその件につきましてご説明を。
 Richardに奇術解説の作法を教えたのは、記憶術でも有名なハリー・ロレイン氏でした。Richardが初期に出版した解説は、ロレイン氏の影響が色濃く残っています。
 ロレイン氏は、1970年代には独自の解説方法を確立され、その方法は1970年代から1980年代くらいまで、氏の右に並ぶ解説者は滅多にいなかったと思います。強いて言えば、タイプは違いますがLewis Ganson氏、Ken Brooke氏がほぼ同じレベルの解説者だったと思います。
 ロレイン氏の解説も現象、方法と分けて書いていません。まるで、ロレイン氏の話を聞いているかのように解説が進んでいきます。

 ロレイン氏がこうした解説をし始めたのには、2つの理由があったそうです。まずは、読者の皆さんに本を読み飛ばしてもらいたくない、という思いから。「ここは面白くなさそうなので、読み飛ばしました」なんてことを言われたときの作者のショックは、計り知れません。作り手としては手を抜かずに心を込めて作った本である訳で、それならば、やはり本の隅々まで読んでいただきたいと思うのが人情でしょう。

 そして、ロレイン氏ご自身の“物覚えの悪さ”がその次の理由だそうです。学校の教科書やレシピ本のようなマニュアル化された解説から、1つ1つの作品を覚えることが氏には困難だったのです。そこで、自分で小説を読むかのように解説を学ぶようにしたら、次々に作品を覚えていくことができることが分かったそうです。そこで氏は、作品をきっちり覚えるには、1話完結の話のように作品解説を書いたら、きっと読者にも役立つのではないかと考えたそうなんです。
 私はロレイン氏の解説、たとえ現象が最初に書いていなくても、分かりやすくて面白いので大好きです。

 実は、現象をまとめた文章を私は個人的に作製していました。しかし、編集の段階で、それを本書に載せることは取りやめることになりました。
 まず、現象を載せることは、読者のためではあるけれど、実際の原書に忠実な翻訳本ではなくなってしまうという理由がありました。そして、もう1つ。現象を書いてしまったことで、読者が1つ1つの作品を丁寧に読まなくなる可能性が高いという理由がありました。作品を読み飛ばされれば、本書に収められた名作を知られないので、私にとっては良いことですが、読者の皆さんにとっては良くないことなのではないでしょうか?

 特にディングル氏の作品は、細部が非常に大切なのだと思います。これは注意して読まないと読み飛ばす可能性が非常に高いでしょう。翻訳していても、読み飛ばしそうになったり、現に読み飛ばしてTon・おのさかさんに突っ込まれたこともありました。細部が理解できなければ、ディングル氏の作品をきちんと演じることは難しいと私は思います。
 それに、実際は自分が苦労して翻訳した文章が読み飛ばされることは、結構辛いことなんですよ。そして、そう書かれることも。私の翻訳文についてどんなご意見もありがたいのですが、作品を読み飛ばされてしまったら、読者の皆さまからのご意見も伺えないどころか、私の立つ瀬までなくなってしまうではありませんか。

 そうとはいえ、Richardのライティングスタイルは、原書の出版当時に確立されていた訳ではありません(思い出してください、原書の出版当時、彼はまだ20歳代前半ですよ!)。
 そして、Richardはロレイン氏とも違います。同じようなスタイルで解説を書いたとしても、読みやすさには差があります。確かに読みにくい解説も本書には存在します。

 でも、解説というテクストは、あくまでもテクストでしかありません。その二次元のテクストに三次元的な深みを与える作業は、読者の皆さまにしかできないのです。
 RichardはRichadの仕事を、私は私の仕事を、Ton・おのさかさんはTonさんの仕事を、編集のNさんはNさんの仕事を、それぞれ皆、誠実にこなしました。難易度は高いにせよ、実演不可能な作品は解説されていません。そして、(手前味噌になりますが)普通なら読み飛ばされるような、作品の細部までしっかり翻訳されています。
 次は、読者の皆さまの番なのです。テクストを精読し、試し、練習し、初めて実りある果実を手にすることができるのです(私の先生、Jamyの本を出版した唯一の後悔は、私が本そのものに深みを与えすぎた点だと思います)。

 「このマジック、もう知ってるよ」とか「最初の5文字まで読んだ」「読むのが面倒くさい」とかおっしゃらずに、是非一度本当の方法を試してください。その価値は絶対にあります。
 ディングル氏の重厚な作品は、本書をテーブルの上に広げ、目の前に鏡を置いて、デックやコインを手に持って練習してみて、初めて読み進められ、氏の作品に対する考えや思いが理解できる、または理解できるきっかけになるのだと私は信じます。これ以外で、これらの作品や技法を精読することはまず不可能でしょう。数週間読んだだけ、ましてや、1~2回解説に目を通したくらいなら何をか況んやです。
 現に、そうしなければ、私はこの本を翻訳出来なかったのですから。

『土地を耕作せぬ者に向い土地は言う。「左右の手を動かしてわれを耕作せぬ咎にて、汝は永久にあらゆる乞食らとともに他人の門に立たねばなるまい。而して永久に富者らの食べ残した残滓をもらわねばなるまい」と 』ーツァラトゥストラ

白と黒

 …とはいえ、これは金田一耕介シリーズの1作ではありません。私が居住する地方が産んだ名作です。

 今日は久しぶりに妻のCathyと義母のCindyさんと一緒に、コメダ珈琲店へ出掛けました。
 最近、ちょっと疲れ気味だったCindyさんを元気づけてあげたかったのです。
 コメダ珈琲店はこの地方の喫茶店チェーンの雄であり、最近ではブームに乗って関東地方にも進出しています。

 このお店、1968年創業なのですが、恥ずかしながら大学を卒業するまで入ったことがありませんでした。当時の会社の同僚に誘われて入ったのが最初だったと思います。そして、大学までこの店を知らなかったことを後悔することになります。

 ある意味ベタベタの、この地方特有の喫茶店です。ログハウス調の店内に入り着席すると、いきなりこれが出てきます。

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 サービスで提供される、お茶うけのお菓子です。
 この地方に存在する喫茶店は“モーニング文化”が有名です(午前中に珈琲や他のドリンクを1杯注文すると、いわゆるContinental Breakfirstが無料で付いてくるサービスのことです)。しかし、それ以外にもこのサービスのお茶うけに何が付くかで、そのお店の善し悪しが判断されてしまう文化があることをご存知でしょうか?
 主に団塊世代以上のオジサン、オバサンはこの辺の評価には大変厳しく、新規開店した喫茶店で気の利いたお茶うけが出てこなかった日には「あ~んなケチなお店、もう行ったらん」と、この地方の方言丸出しで悪い噂をさーっと流されてしまうほどです。一体どっちがケチなのか、私にはよく分かりません。ちなみにここのお茶うけは、昔ながらの豆菓子で、珈琲にも良く合います。

 そして、今日の目玉はこれ!
 コメダ珈琲店の名物、シロノワールです。

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(これはミニサイズ。普通サイズはこの倍くらいの大きさ)

 熱々の丸いデニッシュパンの上に、ソフトクリームがどさっ!と乗ったデザートです。
 どうしてシロノワールと命名されたかいうと、白いバニラソフトクリームの上にこうして…

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とろーり

 …と黒っぽいメイプルシロップをかけて頂くからです。つまり、色目がシロとnoir(黒)でシロノワールという訳です。

 最初にこの光景を見た人は、私も含めて「うわ、これ甘すぎだろうがよ!」と思います。しかし、一口食べるとそんなに甘すぎず、ついつい食べてしまうんですよね。
 シロップの甘さ、デニッシュパンの熱で溶けかけのソフトクリーム、そしてコクのあるデニッシュパンが口の中で渾然一体となります。
 思いっきりB級な味なのですが、一度はまってしまうと忘れられなくなります。カズ・カタヤマさんもこの地方に来られると、結構な確率で食べていかれるそうです。

 アメリカですと熱々のアップルパイの上にアイスクリームを添えたりしますので、そう違和感はありません…少なくとも私には。
 でも、普通に考えれば、ありえない種類のデザートになるのでしょう。他の地域からの客人をこのお店に連れていって、そのドン引きする姿を見て楽しんでいます。
 こうして、この地方の食文化はちょっと変だと世間で言われるようになる訳です。

 このお店、他にもガラス製の壺に入って提供されるミックスジュースとか、一品でお腹が一杯になるカツサンドやピザトーストなんかもオススメです。

 ワイワイガヤガヤいろんな話をしながら、実に数ヶ月ぶりにシロノワール頂いて、みんな満足して帰宅しました。帰り際には、Cindyさんもかなり元気になってもらえました。良かった、良かった。

 もう1軒、しばらく前に関東地方に進出して大成功を収めているアメリカン・ケーキの雄のお店がありますが、それはまた別の話。

Hello, my friend !

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 東京での1シーン。

 ついに、台湾出身の若い友人、Charlesと逢うことになりました。数年前、アジアに住む1人の少年がYouTubeを使って日本のマジックを再評価させる世界的なブームを作って、大きな話題になりました。その張本人が彼、Charlesです。
 かれこれ3年の付き合いになりましたが、電話とメール以外に今まで一度も直に逢ったことがありませんでした。
 何かの機会に逢いたいね、と常々お互いに言っていたのですが、私が東京へ出向くと彼に用事があったりと中々うまく行きませんでした。

 台風が日本を直撃した夜、彼が通う大学の最寄り駅で落ち合いました。私と妻のCathyは車移動のため、駐車場がある近くのファミレスへ。本当はその駅のそばにある、お気に入りのレストランへ行こうとしていたのですが、台風を避けるためにレストランをキャンセル。あまり長い時間の滞在が出来なくなってしまったのが、今回の唯一の心残りでした。

 私は彼に私の著作を、彼は私に台湾の十五夜に食べる月餅をお互いプレゼントとして交換。それからいろいろ質疑応答を受けていると、あっという間に2時間が経過。私がずっと喋りっぱなしで、妻のCathyに「いい加減にしなさい!」と叱られてしまいました。

 メールから感じていた通りの、大変聡明で礼儀正しい若者でありました。最後にちょっとだけお互いにマジックを見せあって、この日は終了。彼の技術は大変達者で、マジックを始めてまだ5年とはとても信じられません。

 インターネットを介して友人が出来るなんて、数年前まではまったく思ってもいませんでした。ちょっとは良い所があるじゃん、とインターネットを見直した夜だったのでした。

 実はこのインターネットの話には続きがあります。しかし、これはまた別の話。

100万ドルのカードの秘密

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"Rainy days and Mondays always get me down"
- カーペンターズ「雨の日と月曜日」より


 日本では古くから「晴耕雨読」と申します。何もしたくなくなるような雨や曇りのアンニュイな気分の日には、自室にお気に入りの音楽を薄く流し、ちょっと物思いに耽りながら読書をするというのも悪くありません。
 この"Someday in the rain"のカテゴリーは、雨や曇りの日、私の気分がちょっと曇りがちな日などにお送りする、個人的な想い出話を絡めながらの奇術関連の書籍紹介になります。新刊書でも気になった著作があったとき、ご紹介するかもしれません。

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 今日私の書架から取りだしたのは『フランク・ガルシアのカード奇術の秘密(原題"Million Dollar Card Secrets")』(フランク・ガルシア著、高木重朗訳、金沢文庫刊、1975年・現在絶版)です。
 著者のフランク・ガルシアさん(1927年~1993年)は、ニューヨークを中心に活躍した「百万ドルの指先を持つ男」の異名を持つプロマジシャンで、テレビなどのマスメディアにも登場していらっしゃったため、一般にも名の知れたマジシャンでした。特にいかさまギャンブルのテクニックで一般の評判をとりました。そして、様々なマジックにおける名著を出版されたことでも有名でした。

 私は1960年代後半に生まれました。私が物心ついた頃の日本では、マジック関連の書籍はちょうど端境期に入ってしまっていました。当時名著と言われていた日本文芸社から発売されていた「奇術入門シリーズ」が絶版となり、一世風靡した奇術専門誌「奇術研究」も廃刊となり、一般書店で入手できるマジック解説書は、実用書のコーナーにちんまり置いてあった、子供だましのような解説書くらいのものでした。

 その当時、一般書店で入手できた奇術関連本の中で群を抜いて素晴らしかった、泡坂妻夫先生の『魔術館の一夜』(社会思想社刊、1983年)、松田道弘さんの名著『奇術のたのしみ』(筑摩書房刊、1975年)や『トランプ・マジック』(同刊、1980年)などを貪るように読み耽っていました。
 絶版になっていた高木重朗先生の著作が図書館にあることが分かって、当時図書館でのコピー代が高すぎるので(なんと、白黒1枚で50円!)借りた本から気に入った作品を手書きでノートに書き写したこともありました。
 なので、1983年に名著『カードマジック事典』が東京堂出版から出版されたときの嬉しさたるや。当時、名古屋駅の名鉄百貨店にあった株式会社テンヨーのショップにディーラーとしていらっしゃった亡き名人、谷川徹夫さんに「買いなさい!」と強く薦められました。解説で分からない部分を親切に教えていただいたのも良い想い出です。

 もっとマジックを覚えたいと思った私は、高木先生が携わられた解説本の巻末に必ず載っていた「推薦図書」が手に入るか、行きつけの本屋さんにお願いしました。そうしたら、金沢文庫の本は当時まだ一部ですが購入できることが分かりました。そして、一番目に付いたこの本を注文したのでした。
 なんてったって、この本には「カード奇術の秘密」が書いてあるんですよ!…そして、それは決して誇大表現ではありませんでした。

 この本は当時中学生になったばかりの私に、正に目からウロコが落ちるくらいの衝撃を叩き付けました。そりゃそうです、アメリカ中の優れたマジシャンの作品がこれでもか!というくらい、惜しげもなく解説されているのですから。
「シカゴ・オープナー」をはじめ、「アイ・メージング」「百万分の3」「百万ドルの交換」「8枚のカードと脳波」「ラズル・ダズル」「透視術」「ワンス・イン・ア・ナイフタイム」…作品の列挙に暇がありません。
 アホな中学生が試してビックリし、そして今でも折に触れ演じる作品がめじろ押しに詰まっていました。最近流行のけれんがたっぷりの派手なカードマジックではありませんが、不思議で楽しいマジックばかりです。特に、この本の中に解説されている3種類のフォールス・カットは、今でも使い続けています。
 当時読んでいた実用書のマジック解説は一体なんだったのだろう?と、この内容の格差には腰が抜けそうになりました(この原体験が、その後の私のライティングスタイルに影響を強く残すことになるのですが、それはまた別の物語)。

 ただ、この本には1つだけ問題、しかも大きな問題がありました…作品の多くが原案者の許可なく掲載されていたことでした。氏が出版した多くの著作に言えることです。
 氏がギャンブルのテクニックを解説した「Don't Bet It On!」(1978年)という著作では、冒頭の部分が謎の人物アードネス氏による歴史的名著『Expart at the Card Table(邦訳版は『プロが明かすカードマジックテクニック』東京堂出版刊)』(1902年)の冒頭のエッセイからほぼそのまま抜き出されているのです。私が初めてこの本を読んだときに、奇妙な既視感に襲われたことを今も覚えています。

 出版当時もめて大変だったんだよ、と、ニューヨーク在住のアマチュア・マジシャンの方に伺ったこともありました。このために、ある土地でガルシアさんがレクチャーをしようとしたところ、かなり大掛かりなボイコットが起こったこともあったようです。こうしたトラブルについては、ガルシア氏がお亡くなりになった直後のMAGIC誌に、親友のRichardもエッセイを書かれています(彼自身も、トライアンフのアイデアを無許可で掲載されたことがあったのでした)。
 その後、さまざまな海外のマジシャンの方にお逢いしましたが、ガルシアさんの本は当時の私にとって目からウロコであって、今も彼を尊敬していると私が言うと、露骨に嫌な顔をされた方も実際にいらっしゃいました。
 
 こうした裏事情を知らない、まだいたいけな中学生だった私を含む当時の読者にとっては、氏の著作からかなりの恩恵を被ることになりました。ガルシアさんの、受ける作品を選ぶプロとして「選球眼」の確かさは素晴らしかったと思います。そのおかげで私は本格的で、しかも比較的楽に演じられる傑作カードマジックを学ぶことができたのですから。

 これだけではありません。収録された作品以上に素敵なのは、巻末にあった「クロースアップ奇術をするにあたって」という8カ条の忠告です(ガルシアさんの作品集のいくつかには、このような忠告が最後に書かれています)。
 頭がゆるかった中学生には「へえ、そうなんだ。じゃあ守ってみようか」くらいのものだったのですが、今考えてみると凄いことを教えられたと思います。今読み返しても、十分に通用する忠告なのです。ガルシアさんのプロとしての長年の経験が、たった2頁と4行しかないこの章の中に込められているのですから。この忠告が当たっていることは、その後様々な場所で痛い思いをしながら確信していくことになります。
 本書の原題は上記の通り『100万ドルのカードの秘密』と言います。これは単に解説されている作品の価値だけについて言っているのではなく、この8つの忠告にこそ、それだけの価値があると私は思っています。内容が気になりますか? それでは、最初の1つを引用させていただきましょう。

『1. 奇術を心から愛するとともに、上手に演じたいという気持をいつも持っていてください。といって、奇術は、決して得意気に見せびらかすものではありません。うぬぼれのために、術者とその演技が鼻持ちならなくなってしまった例を、私はいく度となく見ています。
 まず、虚栄心を捨てなさい。そして、いつも謙虚であるべきです。そうすれば、あなたは一層の進歩を獲得することができるでしょう。』
ー同著収録「クロースアップ奇術をするにあたって」より。


 私にとってこの本は、アメリカの教育者であり哲学者のエイモス・ブロンソン・オルコット(『若草物語』の著者、ルイザ・メイ・オルコットのお父さん)の言葉、“That is a good book which is opened with expectation, and closed with delight and profit.(良書というものは、期待とともに開き、喜びと利益を得て閉じるものである)”という言葉がぴたりと当てはまった初めての奇術専門書のうちの1冊となり、この本との出会いが、それ以来マジックの面白さを深く追及していくきっかけの1つとなりました。

 この本をカード片手に読み耽っていた頃、エッセイリストの江國滋先生が『あめりか阿房旅行 わん・つう・すりー』(文藝春秋社刊)という、アメリカ紀行の素敵なエッセイ集を1983年に出版されました。
 マジックに魅了されていた江國先生が、数多くのアメリカの超一流マジシャンたちに出会うのですが、その中でガルシアさんにもお逢いした部分が登場します。
 その文章からは、ユーモアに溢れた、温かくて面白いおじさんといった印象を受けました。私のマジック好きを決定的なものにしたこの著者に一度でもお逢いしたいなぁ、と世間知らずの中学生は思いました。そして月日が流れ、それが叶う瞬間がやってきました。

 1990年、ガルシアさんが日本で講習会を行いました。運良く、私もそこに参加することが出来ました。そして、私にとっての恩人と初めて対面しました。しかも、二人っきりの状態でした。
 身体は震え、もう、まったく言葉が出ませんでした。とにかく、話せたのは氏への感謝でした。あなたの本のおかげで、私はマジックが本当に好きになりました、ありがとうございました、と話すうちに勝手に涙が出てきました。すると、ガルシアさんは笑いながらこう言いましたーー「おやおや、若いの、泣くんじゃないよ。こっちが泣きたいくらいだよ。異国の地で若い私の読者がこうも感謝してくれて。今日は楽しんでいってくれよ!」…江國先生の本で読んだ通りの温かいおじさんでした。

 当日ガルシアさんは風邪を召されていたようで、鼻をかんで丸めたティッシュの山をテーブルの傍らにこんもりと作りながら、様々な作品を飄々と人懐っこそうな笑顔と共に演じられていきました。それは面白い作品ばかりでした。昔なじみの作品もありました。私は会場の片隅で、この講習会を夢見心地で楽しんでいました。

 そして、日本での講習会からしばらくした後、ガルシアさんは天に召されました。

 この本はアラフォーになった今もカードを片手に読み返します。そして、もし中学生だった自分がこの本に出会っていなかったら、今ごろ自分は何をしていたのだろうと、本書を読み返す度にそんな疑問がふと頭をよぎるのです。

Happy Stomach @ Queen of Hearts' Banquet Hall

 東京での1シーン。

 旧友Paulが新たな番組撮影のために離日して、今日は親友Richardと妻Cathy、そして私で東京ディズニーランドへ。
 あいにく朝から冷たい雨で、「僕らは雨が好きだ~」とRichardに言われるままに自己暗示をかけてから、傘を差していろいろなアトラクションへ望みました。
 しかし、行きたかったアトラクションでシステム障害が発生してしまったり、出足が遅れて思った以上にスタンバイの列に人がいて結構待たされたり。ちょっと運が悪い日だったようです。

 11時になり、これは寒くてたまらん、何か温かいものでも飲もうよと周りを見渡したら、レストラン「クイーン・オブ・ハートのバンケットホール」がありました。
 CathyとRichardは、このレストランを何度も利用していたようなのですが、私は初めて。じゃあ、時間も時間だし、ここで朝昼兼用のパワーランチにしようということに。

 東京ディズニーランドの中でも古いレストランの1つになるのですが、いつも列が出来ていて私はパスしていました。レストランの中は、ディズニー映画の傑作の1本「不思議の国のアリス」の世界が一面に広がっており、今まで利用しなかったことを後悔。素敵な雰囲気です。よく見ると、有名なキャラクターがそこここにいます。ステンドグラスも素敵です。 中央のオープンキッチンでは、コックさんたちがせっせと食事の準備をしています。

 私はハートのハンバーグ、Richardはステーキ、Cathyはシーフードフライをそれぞれチョイス。すると、Richardは「yuki、"Happy Unbirthday Cake"は知らないだろ? あの映画に出てくるケーキとまったく同じなんだぜ。これ試しとけ!」と言うので、Richardと一緒にそれも注文。

“Happy Unbirthday!”というのは、「誕生日でも何でもない日、おめでとう!」という普通の日を祝うための言葉で、キ印の帽子屋が開催した終わらないお茶会「Mad Tea Party」で使われた言葉です。

ところが、このケーキが結構大きい…。

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(Richardがケーキを持ってくれています)

「またこんなものを食べて!少しは自重しなさい」とCathyはあきれ顔。
知らなかったとはいえ、おっしゃる通りです。

 みんなで4人がけの席につくと、大きなアメリカ人の隣に空いている席に、2つもこのケーキが置いてある状態になる訳です。アメリカ人のオジサンと巨大スイーツが並んでいる光景は、当然周囲の注目の的になりました。
 私たちの横を通った若い女の子たちなんかは、この2つのケーキとRichardをまじまじと見ながら「マジすげー!」「やっぱアメリカン、ハンパない」なんて話していました。

 ハンバークのお味は、こういう場所を思えば十分に合格点。RichardのステーキもCathyのフライも中々!とのこと。
 そして、件のHappy Unbirthday Cake。本当に映画に登場するケーキそっくりに出来ています。お、生クリームもフレッシュで、スポンジもフワフワで軽い。甘すぎないので、思ったよりもパクパク食べられます。Cathyも私のケーキを1/4食べて「うん、料理もケーキも昔より随分美味しくなってる!」と言っていました。
 ステーキとケーキ1ホールをぺろりと平らげたRichardは「うーん、身体も温まって、胃袋も幸せだぜ! こんな何でも無い日というのも、悪くないね」と大満足。

 いやはや、お昼にしては食べ過ぎてしまいました。食後に温かい珈琲を飲んでさらに胃袋と心を幸せにして、アトラクションのスタンバイの列へと再び向ったのでした。

 さらに話はその日の夕食へと続くのですが、それはまた、別の話。

今年最後の…

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 朝夕、徐々に冷えてきて、私の書斎の窓から見えるお城の周辺の木々の色も変わり始めました。
 昨日、外出した際に甘い金木犀の香りに気がつき、本格的な秋を感じました。

 とはいえ、日中はまだまだ暑く感じたりしますね。長袖だと汗をかいてしまうことも。
 今日帰宅しましたら、妻のCathyが「今年最後だよ!」と言いながら、ひんやり冷たい自家製のあんみつを作っていてくれました。Cathyの小倉あんは甘すぎないので、ついつい食べてしまいます。

 これまた甘すぎない白みつを寒天と白玉、そして小倉あんの上にとろりとかけて一口。
 自家製の寒天も天草独特の磯の香りが微かに香り、茹でたばかりの白玉もつるりとした咽越しです。スプーンの上に夏の名残を感じました。
 ふと、スチャダラパーの「サマージャム'95」のlyricが頭をよぎります。

 和三盆糖を使った小倉あんの上品で爽やかな甘さが、温かい緑茶の渋さに合うようになる季節になるとは。日本人に生まれて良かった、と思う瞬間でもあり、時の流れの速さを想う瞬間でもありました。

 確実に秋が深まってきています。風邪引きさんも増えているようなので、皆さまもご自愛くださいね。
 
 さあ、頭を切り替えて、秋冬に向けて抱えた仕事を片付けますか。

ConCam Monte

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 旧友Paulの名古屋でのレクチャーが行われる数日前、彼からある商品解説の翻訳を突然依頼されました。それは以前、PaulのレクチャーDVDの中で実演だけされていた、奇妙な味がある、カードを投げないタイプの「3カード・モンテ」の解説でした。

 現象は2枚の黒い字札と1枚のハートのQを使った当て物で、まあ、驚くほどビジュアルな手順になっています。 実演が気になりますか? ここでご覧ください。

 古くからある『Dutch Looper』とか『English Monte』と呼ばれる作品のバリエーションですが、添付されていた翻訳用のテキストを読み進めたら「あ、騙されてた!」と思うほど、本当に賢い手順でした。Paulも大好きな手順で、プロとしての演技でかれこれ20年程使ってきた手順だそうです。道理で実戦向けな手順であるはずです。

 第1段で使われている、この手の「いつの間にか、何かが起こる」タイプの現象(私は“「おや、いつの間に」現象”と呼んでいます)、好きなんですよね。手順の最初における手法は、ゆうきとも氏のハンドリングに似ています。
 
 先日行われたPaulの名古屋レクチャーにおいても、思った通りヒット作の1つになりました。つまり、この作品は世界で初めて名古屋で発表されたことになります。
("ConCam"というのは彼が作った術語で「単純な方法を使って、驚くほど最高な現象を達成する」という意味です。この術語が付いている彼の作品は、彼が誇りに思っているお気に入りの作品ばかりです)

 この作品が、とうとう世界中で発売されることになりました。このマジックショップから発売されます。Paul自らによる実演、解説DVDとギミックが付いてこのお値段(2500円前後)なら"Must-buy"です。
 このギミックは、正式なU.S.プレイングカード・カンパニー社謹製なので、本当に良く出来ています(残念ながら、同社からのギミック・カードはこれからあまり出回らなくなってしまいますね…)。

 このショップの回し者ではありませんが、これほど楽に演じられて効果バツグンな「3カード・モンテ」は、そうそうお目にかかりません。原案をご存知のベテランの方なら、少し練習すればすぐに演じていただけると思います(エンディングは、是非パトリック・ペイジ氏の方法でシメてください。上記の動画ではやっていませんが、実際、Paulはこの方法で演じていますし、絶対こっちの方が不思議です)。

 たぶん、日本のショップでもすぐに扱い始めるはずなので、要チェックですよ!

・定価 25ドル(約2400円)

Spicy Tuna Roll

「新しい御馳走の発見は、人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」
ーB.サヴァラン

「何といっても故郷の水がいちばんだよ」
ーステインベック


 私の先生Jamyから習ったことの1つに、次のような言葉がありました。「良いかい、人間には2種類しかいないんだよ。生きるために食べる人と、食べるために生きる人なんだぜ!」
 私の趣味の1つに、自分にとって美味しい料理を食べたり作ったりすることがあります。美味しいものを食べたなら、これ以上にワクワク気分を味わえる機会はあまりありません。
 逆に期待外れなものを食べたときは……新しい体験が出来た喜びと、同時に話のネタが生まれます。
 この"Live to eat!"のカテゴリーでは、ちょっと気になった料理や食べ物などについてお話ししたいと思います。

 東京での日々のワンシーンから。

 旧友Paulは大変な親日家で、今回の来日ではお寿司を食べるのが大変楽しみだった様子。普通、海外の方は食べないイカやタコも彼は平気で食べられます。
 でも親友Richardは「こんな魚臭いものなんて食えねえ!」と、元ニューヨーカーとはあるまじき発言をする人(ニューヨークは海に囲まれているので、新鮮な魚介類やカキ、ハマグリなどに恵まれ、美味しく頂くことができます。ニューヨーカーは、魚介類好きな方が多いのです)。
 Paulが離日する前日、夕食の前に「前菜としてちょっとで良いんだ、寿司がつまみたいんだけど…」とお願いをしました。それまで、Richardのリクエスト通りに肉料理が多かったので、そうお願いしたくなるのも分かります。私と妻のCathy、Paulで嫌がるRichardを引きずりながら、あるお寿司屋さんに入りました。
 
 渋い顔をしたRichard以外、みんなでメニューを眺めました。Paulは「日本以外では、このレベルのマグロって食べられないんだよね。わ、僕の好きなカンパチもある!」と言いながら、嬉々として注文をしていました。

 結構有名なお寿司屋さんなのですが、いわゆるロール類(アボカドがネタになった“カリフォルニア・ロール”などの日本の巻き寿司からインスパイアされて出来た、Paul曰くの「寿司のような食べ物」)が充実していてビックリ。仲居さんに伺うと、そのお店は海外の旅行者がお客様として多くいらっしゃるので、メニューに加えましたとのこと。

 私は後の食事もあるのでどうしようか迷ったのですが、Richardに「日本人なのにロールを食べるのか? アメリカの寿司屋でロールを注文する日本人なんて見たことがないぞ! てか、アメリカの寿司屋に入ろうなんて日本人自体が珍しいぜ」とヤジられながらも、唯一食べられるロール、スパイシー・ツナ・ロールを注文してみました。日本ではあまり見かけないので、試してみたかったのもあります。

 注文が届き、ワクワクしながら一口!…モグモグ…うーん、私にはちょっとスパイシー過ぎかなぁ。それにマグロが鉄火巻の状態になってる…。シェアしたPaulは「うん、スパイシーだけど、結構好きだな!」と言っていたので、海外の方に合わせた味付けなんでしょう。
 残念、食べたかった味と違うなぁ…。

 私の料理は、こうしたことがきっかけとなります。我が家に戻って、ニューヨークにあった今はなき和食の名店「Tatani 52」の板前さんに教えて頂いた、スパイシー・ツナ・ロールを早速作りました。
 我が家では手巻き寿司のネタの定番になっています。

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スパイシー・ツナ・ロールとは、一言で言えば「甘辛ソースに絡めたネギトロ巻き」のことです。

(材料)
・ネギトロ用マグロ 適量・…ロールに使うものなので、ある程度の鮮度があれば、高級なものでなくて十分です。お試しならば、残り物で十分。
 アメリカでは通常マグロ赤身(中トロとか使わないようです)のぶつ切りや柵をフードプロセッサーにかけてペースト状にしています(日本みたいに包丁で叩けよ!と思いますが…)。
 でも、板前さんの言う通り、面倒くさいし売っているネギトロをそのまま使ったほうが美味しいと思います。
万能ネギ(細ネギ) 適量…ネギトロには晒した白ネギが多いようですが、この場合万能ネギの方が美味しい。ちょっと多めで。
・酢飯
・スイートチリソース…本当はスリラチャ・ホットソースってのが良いのですが、市販のスイートチリソースで十分対応できます。
スリラッチャ・ホットソースは成城石井や明治屋なんかで見つかります。
豆板醤を使う店もあるようですが、ちょっと辛すぎるかなぁ…(ちなみに上記のお寿司屋さんは、豆板醤ベースのソースでした)。
・タバスコ
・マヨネーズ…日本のマヨネーズで十分ですが、自作のマヨネーズの方が、よりアメリカ風になります。
・板海苔…手巻き寿司のサイズくらいに切っておいてください。 
・キュウリ 1本
・白ゴマ 適量

(作り方)
(1)キュウリは長めの拍子切りに。万能ネギは小口切りに。酢飯に白ゴマをかけてまぶしておきます。

(2)ソースの作り方。
 スイートチリソースとマヨネーズを1:1で混ぜ、そこにタバスコを数滴垂らします。ちょっとピリッと来る甘辛なソースを作ってください。私は甘めな方が好きです。
 通常パックで売っている位の量のネギトロならば、各大さじ3くらいで混ぜてみてください。少ないと思ったら、双方を少しずつ足してください。
 スリラチャ・ホットソースを使う場合は、こっちの方がちょっぴり辛めなので、辛いな、と思ったらマヨを少し多めに、タバスコを入れすぎたようなら味醂を小量加えて味を穏やかにしてください(スイートチリソースだと、最初から甘めなので味醂を加える手間が省けます)。

(3)(2)で作ったソースをボウルの中に入れたネギトロにかけ、そこに小口切りにした万能ネギ(大さじ4くらい。多めの方が美味しいです)を入れ、よく混ぜ合わせます。

(4)板海苔の上に酢飯を敷き、(3)で作ったソースで和えたネギトロを載せ、拍子切りにしたキュウリを1~2本その上に載せて、クルクル手巻き寿司のように巻いたら、ちょっぴり醤油につけてどうぞ召し上がれ。

 あっという間に完成です。本当は裏巻き寿司にするのですが、私は面倒なのでパス。「Tatani 52」の板前さんも、普通に手巻にして食べたほうが美味しいよ!っておっしゃっていました。
 お店によっては、ソースの中に天かすを入れてサクサクとした食感を出したり、巻いたお寿司の上に飛び子を載せたりもします。でも、私はこれで十分です。

 ネギトロ独特の脂の甘さとソースのコッテリ感がたまりません。そこにアクセントとして入る、キュウリとネギの感じと食感がまたグッド。ソースを甘めに作ると、お子様でもパクパク食べることが出来ますよ。サラダ巻きの感覚で楽しんでみてください。

 余ったスパイシーツナ用のネギトロは、大葉で挟んで天ぷらのタネにどうぞ。ビールにぴったりの肴になります(これも板前さんのアイデア)。

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 さあ、Paulが美味しくお寿司を食べ終えて、みんなで店を後にしました。次はオレの番だ!といった感じでRichardが先頭にたって、嬉々としながらその夜のメインになる焼肉屋さんへ向います。
 その肩で風切る勇ましい後ろ姿を私と妻、Paulで呆れながら見ていたら、Paulが「よし、じゃあアイツは勝手に行かせて、俺たちは戻って寿司を楽しもう!」と小さな声で言い、再びお寿司屋さんに戻りかけたのはRichardに内緒です。

Great Big Day @ Elm

 10月の始めに、名古屋が誇る老舗マジック・バー『メンバーズ・エルム』で、
私の親友Richardと旧友Paulのクロースアップ・マジックショウと講習会が開かれました。

 一昨年、Richardが編集長をしている権威と歴史を誇る世界的な奇術専門誌『Genii』誌の中で日本のマジックバーの特集が組まれ、エルムのマスターである山内利夫さんが大々的に取り上げられました(ちなみに、このときの記事は、東京堂出版から発売されていた『The Magic』誌 vol.77に私が翻訳して掲載されています)。
 そのお礼として、山内さんがRichardを名古屋に招待したのです。さらにもう1人誰か凄腕のマジシャンを、ということで旧友のPaulも招待されました。

 Richardは、日本に数あるマジック・バーの中でもエルムが一番のお気に入り。特に、山内さんが特注された「エルムデック」をいつも持ち歩き、Genii誌での解説では必ずこのデックを使っているほどです(本当に質の良いデックで、私も“ここぞ!”という時には必ず使わせて頂いています)。
 一方のPaulは、ここ数年、映画『Shade』(2003年)や海外テレビ番組『Real Hustler』のプロデュースなどで大活躍中。最近では、マジシャンというより「プロのハスラー」として著名になっていらっしゃいます。ヨーロッパとアメリカ双方のエキスパートたちから直で学んだ豊富な知識が、今の仕事に大変役に立ってるようです。

 ショウの前日、マジックランドのさとしさんの先導で彼らは名古屋へ到着して、舌が震えるような凄い夕食をみんなで山内さんにごちそうになった後、エルムへご招待していただきました。
 初めて山内さんのカードマジックを見たPaulは、終始"Wow!! Wow!!"と唸りっぱなし。その様子を見ながら、Richardとさとしさん、私はニヤニヤ。
 一通り山内さんの妙技を見た後に「どうだった?」とPaulに感想を聞くと、「何度騙されたか覚えていないよ。あの"Think a Card(ただ心に思ったカードをズバリ当てるカードマジックのこと)"は一体なんなんだろう?? ありえない…」とつぶらな目をパチクリしながら答えてました。特に、山内さん独自の「弾むボールと弾まないボール」の妙技には「ボールをすり替えてたとは絶対に思えないって!!」と普段冷静なPaulが絶叫していました(笑)

 イベント当日、私は通訳やセッティング、司会から、彼らの荷物運びなどをさとしさんと一緒にお手伝い。当日はF1グランプリやゴルフの東海クラシック、名古屋まつりと大きなイベントがめじろ押しだったのですが、夜は大盛況となりました。
 午後に行った講習会は、大変面白いものでした。Richardは、ニューヨークで鍛えたカードテクニックを20年ぶりに日本で講習。若い世代のマジシャンの方々にとっては、本当に勉強になったと思います。彼のレクチャーDVDでは教えていないコツも、惜しみなく話していました。
 そして知性派のPaulも、緻密に計算された面白いマジックをいろいろ講習しました。彼の技術を直に見ることができただけでも、損はなかったと思います。さらに今回は、気合いを入れて未発表の作品を数多く紹介していたので、参加できた方は本当にラッキーだったんですよ!

 そして、夜のクロースアップ・マジックショウ。これが最高でした。
 Richardの文章から受ける印象は、意見が強いために怖いと感じる方もいらっしゃるのですが、実際はオチャメで面白いオジサンなのです。
 最前列に4名の女性がいらっしゃいました。結構お酒も召されていて、良い感じにでき上がっているご様子。Richardの演技のスタイルは、先生だったDerek Dingle氏のようにジョークが盛りだくさんに入るユニークなスタイルなのです。それがツボに入ったのでしょうか、女性客のお一人が笑い始めました。すると、Richardは、子供をあやすかのように、その女性に向って顔芸を始めました。女性も負けずに変顔を返します。その様子に会場は大爆笑。この笑いがさらに女性のツボに入って、笑い泣きを始める始末。でも、そのおかげで会場が良い感じに温まりました。
 その後に登場したPaulは、面白いマジックから後半のシリアスなギャンブリングの手順まで、観客をビックリさせっぱなしでした。
 お二人の前にマジックを演じられた名古屋の若手マジシャンの皆さんを含め、全体として緩急のバランスが絶妙に取れた良いショウだったと思います。おいしい料理を食べて、ゆったり過ごしながらマジックを楽しむ、というのは、やっぱり良いですね。

 今回の会は、山内さんが中心とならなければまったく成立しない会でした。
 お客様を最大限におもてなしして満足させるだけではなく、若い世代のマジシャンも育てて行きたいという、山内さんの気配り、懐の深さ、強い心意気、そして昔から変わらない情熱にずっと心を打たれっぱなしの一日でした。
 
 山内さん、次のショウはいつですか? 

追記:リンク先のエルムの住所が旧住所なので、こちらに新しい住所を。

愛知県名古屋市中区栄5-6-26 いずもビル1階
Tel :(052)241-1113


エルムの凄さの秘密は、面白いマジックや炸裂する山内さんの脱力系のジョークに加え、食事のおいしさにもあります。(お昼のランチも、大変お値打ちでおいしいのです!)
夜に山内さんのマジックを絶対ご覧になられたい方は、是非ご予約を。
大いに笑って、山内さんの妙技に酔い痴れ、身も心もお腹も幸せになって帰宅できますよ!

「幸運の女神 物語」

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Do not buy what you want, but what you need; what you do not need is deer at a farthing.
- Cato the Elder


 私はあまり無駄遣いをする方ではありません。それでも、いろいろ面白い商品が目の前にありますと、ついつい買いたくなる衝動が生まれます。煩悩深き私には、それが人情というもののように思います。
 この"Marketplace"のカテゴリーでは、見つけた面白い商品の中でも、これは良かったと思った商品を、マジックに関するもの、関係ないものゴチャマゼにしてご紹介しようかと思います。
 
 東京でのワンシーンから。

 私と妻のCathyで、日本におけるマジックの総本山的なマジックショップ「マジックランド」へ久しぶりにお邪魔しました。
 日本のマジック界の仙人であるTon・おのさかさんに、ありがたい説法を伺いに参上したのです。ドアを開けると、いつもの通り、Tonさんの奥さま、ママ・おのさかさんはニコッと笑いながら、お店のマスター、さとしさんは「いらっしゃーい」と良い声で出迎えて頂きました。

 Ton・おのさかさんは、マジックの世界で知らない人はモグリである程の有名人です。国内外の一流マジシャンたちが"Tonさん"と慕い(旧友Paulは“National Tresure”だと言います)、彼らが来日する度に謁見に参上します。
 そして、何か相談事があるときは、世界中を駆け巡った経験に裏打ちされた広く高い視野から、その問題に対する的確なアドヴァイスをしていただける、日本のマジックの世界になくてはならない陰の立役者なのです。心なしか、その風貌も本物の仙人然としていらっしゃいます(ちなみに、左側にいるのが先生のJamy。Tonさんがタキシードを着られている貴重なショットです)。

 今回も、私が誰にも話していない話をTonさんはズバズバ言い当て(仙人なので当たり前の能力です)、それについてのアドヴァイスやヒントを沢山いただき(これも仙人なら当然お持ちの千里眼ですね)、気がつけば3時間も滞在させていただきました。

 久々にお邪魔したので欲しかった商品をいくつか見繕ったのですが、その中に「幸運の女神 物語」がありました。
 これはイギリスの奇才、ピーター・ケーン氏が考案した「Gypsy Curse」という作品で、自らが考案したパケット・トリックの名作「ワイルド・カード(Wild Card)」の改案になります(ちなみに、この題名は"Curse"と"Cards"、つまり"ジプシーの呪い"と"ジプシーのカード"という言葉をかけた駄洒落になっています)。

 この作品は「ワイルド・カード」と同じく、カードが変化していく現象です。原案は、ジプシーのおばあさんと賭けをする演出になっています。6枚の数のカードの中に紛れている1枚のハートのQの位置を当てようとするのですが、絶対に当たりません。どんなに分かりやすく説明されても当てることが出来ません。最後に、ハートのQ以外のカードの位置を当てさせようとするのですが、突然7枚すべてのカードがハートのQに変化してしまいます。

 普通のワイルド・カードと違うのは、手順の最後にすべてのカードの両面を自然にしっかり観客に示すことができる点。使用する道具立てと興味をそそる演出、鮮やかな現象のバランスがとても良い作品なので、以前から折に触れ演じていました。私が一番最初に購入した製品は、東京ディズニーランドの中にあるマジックショップで販売されていた輸入品(Emerson & West社製)でした。

 色々なプロマジシャンもこの作品に触発されたようで、例えばオランダの名手、フレッド・カップス氏も素敵なハンドリング(ただし未発表)を演じていらっしゃいました。あと、アメリカのロン・バウワー氏の作品「Sudden Death Gypsy Curse」(同名の小冊子に発表されています)も面白いですね(残念ながら、無許可で日本のある専門書に発表されてしまったようです…)。
 もし薄気味悪い演出がお好きなら、ベルギーのビザリスト、クリスチャン・チェルマン氏の「PACT」という作品も要チェックです(氏の最初の作品集『Capricornian Tales』に発表されています)。

 以前マジックランドで「ジプシー・カーズ」として販売されていたのですが、一時品切れになっていました。それが、少し前にモデルチェンジして再版されたのです。
 丁度、拙訳の 『デレック・ディングル カードマジック(コインマジックもあります)』の中に、名人ディングル氏らしいハンドリングと演出が解説されたこともあり、久々に演じたくなりました。

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 もともと、この作品に使われるカードは、中世の古いカードを模したものでした。上の写真は、私のコレクションから、確認された中でも一番古い、完全に52枚一組揃ったプレイング・カード「Flemish Hunting Deck」です。
 このデックは、1475年から1480年の間に作られたデックで、なんとすべてが手書き。ニューヨークのクロイスターズ美術館に収蔵されている現物を、大手トランプメーカーの1つであるウィーンのPiatnik社が複製したものです。現物を見に行ったこともありますが、細長い楕円形で、大変品の良いイラストです。裏面を撮影していない理由は、残念ながら、当時のカードには裏模様がなかったからであります。
 マジックランド製のものも、他の海外の会社で作られているものも、こうした古いカードを模していることが良くお分かりになるかと思います(最近発売されているドイツ製のものは、非常に凝った製品になっていますね)。

 新しいマジックランド製の製品に戻りましょう。原案通り、カードは羊皮紙のような紙に包まれています。こうじゃなきゃ、演出が効きません。そしてカード。ちょっと小ぶりになって、大変扱いやすいです。カードの滑りも問題ありません。カードの表面のデザインも私好み(でも、裏模様のデザインは、昔の製品の方が好きかなぁ…以前のものは、手書き風のイラストだったのです)。
 解説書は親切にも3手順分付いていて、原案から改案まで学ぶことができます。カードも通常のセットに加えて余分に数枚付いているので、普通に「ワイルド・カード」を演じることも可能です。
 私はディングル氏の作品が好きなので、それを演じることになるでしょう。当分の間、楽しむことができそうです。

 もしディングル氏の作品を演じられたい方がいらっしゃったなら、演出について一つお話ししないといけないことがあります。
 上記の本の中で、枕の話に使われているジョークの本当のオチが、どうした理由からか抜けてしまいました。もちろん、本に解説されたままでも演じていただけるのですが、ここに残しておきましょう。85頁の上から3行目からです。

 『このカードが特別な理由は、私にとって特別なものだからです。このカードは、私のお爺さんから今際の際に渡されたものです。本当は売りつけられたのですがね。ケチなお爺さんを持ったものです。仕方ないので、お爺さんには小切手を渡しておきました』

 お爺さんは死ぬ間際なので、小切手を渡して現金を渡さなかったということです。お前もケチだろうが!という考えオチですね。今風に言えば「カードで決済しておきました」とか「ツケにしてもらいました」って感じでしょうか?

・定価 2500円(税抜) 連絡先 マジックランド 電話03-3666-4748

 追伸:さとしさんへ:ママさんも強力にオススメで、私も表面のデザインが良いですよね、と話している横で、ボソッと「そうかぁ? そこまで強く言うかぁ?」とか言わないの! 良い商品なのです!!

"Interview with Crush"

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『なにかひとついいことがあれば、最高にいい日ですよね』
ー糸井重里

"It's going to be a fine night tonight, It's going to be a fine day tomorrow"
- Opus III 「It's a fine day」(OMAR-SのAcid-mixでどうぞお聴きください)


 このカテゴリー"Its's a Fine day"では、本当になにも変わったことがないけれども、ちょっとだけいいことがあった日常を切り取ってみたいと思います。

 先日、親友Richard、妻のCathyと共に東京ディズニー・シーの新アトラクション、『タートルトーク』に行ってきました。
 これは大人気のディズニー映画『ファインディング・ニモ』に登場したウミガメのお父さん、クラッシュと観客がインタラクティヴに会話をする、いわばクラッシュのスタンドアップ・コメディ・ショウ(アメリカ式の漫談)です。

 場所はSSコロンビア号の船尾に出来た「海底展望室」の中。当日ご一緒していた旧友Paulは「日本語が分からないし、君たちが行ってる間に"タワー・オブ・テラー"のお土産が欲しいんだ」とのことでパス。
 Richardは大変熱心なディズニーフリークなので、私が横で通訳をしてあげることに。
 最終回に見たのですが、夜遅くにも関わらず、ちびっ子から大人まで沢山の人々が列を作っていました。

 東京ディズニー・リゾートのアトラクションでいつも感心するのは、待ち時間を楽しませる配慮が素晴らしい点。タートル・トークの場合なら、SSコロンビア号の船尾に海底展望室を作る工事の様子が、当時の新聞記事と共に掲示されています。ちゃんと、船尾に大きなガラス窓をはめ込む様子まで撮影されている凝りようです。

 まずは、最初に通されるレクチャールームで、スライドを見ながらアトラクションと海の生物と話すための「ハイドロフォン」という最新式マイクの説明を聞きます。
 流石に遅い時間なので、長い時間シーで遊んで疲れ気味な会場の皆さんのテンションは非常に高く、緊張気味だった説明の女性キャストさんを盛り上げる、盛り上げる。
 キャストさんも声援に押されて段々調子が出てきたようで、大変面白い講義を聞くことができました。

 そして海底展望室の中へ。最終回なので立ち見が出るほどの大盛況。目の前には大きなガラスがはめこまれた窓を模したスクリーンがあり、皆が呼びかけるとクラッシュが登場。
 東京ディズニーリゾートに「中の人」なんていないのですが、これはもしや海外ドラマ「ER」や「24」でお馴染の、私が好きな声の渋い俳優さんがそのまま声を当てていらっしゃるような気が…(そういえば、いわゆる“腐女子”とお見受けする女性のグループも結構多かったのは、それが理由なんでしょうかね?)。
 「お前たち、サイコ~?」というクラッシュお馴染のフレーズに合わせて、疲れのためにテンションが高い観客一同は凄い勢いで「いえーい!」とコールを返します。

 クラッシュは観客に質問を投げ掛けるのですが、これが凄い。当意即妙という言葉がピッタリです。赤い服を着た女の子には「じゃあ前から3列目、中央のブロックだな、右から4人目の赤い甲羅を着た女の子にしよう」とか、眼鏡をかけたお兄さんには「お前さんのゴーグル、似合ってるぜ!」とか、本当に生きているクラッシュがライブで会話をしているみたい。

 私たちが観た回は、質問をする観客も答える観客も反応が良く、笑いがまったく止まりませんでした。途中でおしゃべりなハギのドリーやクジラが乱入してきたり、彼らの動きによって会場内の様子も変化したりと、細かい演出も飽きさせません。
 乱入してきたドリーにクラッシュが気づかないときに、ちびっ子みんなが「クラッシュ、うしろ~!」と掛け声をかけている隙に、よこしまな大人たちがどさくさに紛れて「志村、うしろ~」と声をかけていたのはちょっと笑えました。でもこれ、通訳できないじゃん!

 私たちが参加した回で1番面白かった質問は、こんな感じでした。
 腐女子風の女性(失礼!)が、こう質問しました。「えっと、クラッシュさんには愛人がいるんですか?」  
 家族連れも多い会場が、一瞬ざわつきました。すると、クラッシュは落ち着いてこう答え始めます。
「オレは妻と130年連れ添ってるんだ。あんな可愛いヤツはいないんだぜ。そして、息子も良く出来た息子なんだ。良い家族にめぐまれたもんさ…で、お前さんが言ってる“アイジン”ってのは、一体どんな人種なんだい?」ここで、会場ドッと受ける。
でも、腐女子も負けません。「えっと…小悪魔系っていうんですか?」
すると、間髪を入れずにクラッシュが叫びます「な、なんだってー!人間は悪魔と付き合うのか!!」
 これには会場みんなが大爆笑。大きな拍手が生まれました。
 
 会場を出た後、Richardは「日本版はジョークも多いし、たぶん世界中にある『タートル・トーク』の中で1番面白いんじゃないかな?」と感心しながら話していました。
 彼は詳しいシステムの説明をしてくれましたが、ここでは控えておきましょう。いやはや、凄いことを考えるものです。
 
 参加する観客の層によって、ショウの面白さがかなり左右されるような気はしますが、子供も大人も一緒になって楽しめる、素敵なアトラクションでした。特に、誕生日に行くと良いことがあるかも、ですよ。
 お時間があれば、みなさんも如何ですか?

こんな本がありました。

 一応、今まで出版された私のマジック関連の訳本、著作などをご紹介させていただきます。お時間がありましたら、一般書店でお手に取ってパラパラ見てみてください。

『大魔法使いアラカザール マジックの秘密』(アラン・ゾラ・クロンゼック著、拙訳、東京堂出版刊、2002年)

 これは私が手がけた訳本として初めて一般向けに出版されたものです。マイケル・ウェーバー氏を初め、世界中の一流マジシャンや研究家が絶賛する子供向けのマジック教本です。ウェーバー氏は「子供のための、マジック理論書の名著『Our Magic』(Maskelyne,Devant共著、1911年)である」と評したほどです。
 子供向けとは言え、実はベテランの愛好家の方にこそお読みいただきたい本です。
 関西在住の素敵なベテラン愛好家であるマジェイアさんによる書評で、すべてが的確に言い表されていると思います。

『英語でペラペラマジック』(拙著、東京堂出版刊、2006年)

 英語が苦手な方のために、簡単なマジックを覚えながら英語を学んでみませんか?というコンセプトで書いた本です。詳しくは、この後のエントリーでお読みいただけます。

『ジェイミー・イアン・スイスのクロースアップマジック』(ジェイミー・イアン・スイス著、拙訳、2008年)

 私の先生、ジェイミー・イアン・スイス氏の作品集です。私が1999年に自費出版した『Shuttering Illusions』(Y's-tRance Publishing刊)の改訂増補版です。中級以上の愛好家のための本ですが、あなたの頭脳を刺激する過激なエッセイや氏の理論は必読です。
 ナポレオンズのボナ植木さんのブログに素敵な書評(2008年10月6日分)を載せていただきました。

『デレック・ディングル カードマジック(コインマジックもあります)』(リチャード・カウフマン著、拙訳、TON・おのさか編集、2009年)

 名著として名高い、故デレック・ディングル氏の作品集『The Complete works of Derek Dingle』(1982年)の邦訳版です。“マジシャンを騙すマジシャン”として名を馳せた氏が考案した、珠玉の作品群が1冊になりました。中級者以上の愛好家のための本です。

『The Magic』(名和成人編、東京堂出版刊)

 残念ながら2009年6月で休刊してしまった奇術専門誌です。このVol.67から「From Genii」と「Genii Update」というコラムを担当させていただきました。それ以前もちょいちょいエッセイや記事などを掲載させていただきました。

 あと専門書などもありますが、これは後ほどまとめてアップします。

ごあいさつ

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Write what you like; there is no other rule.
- O.Henry


Better to remain silent and be thought a fool than to speak out and remove all doubt.
- Abraham Lincoln


 こんにちは、はじめまして。ようこそのお運び、誠にありがとうございます。このブログは"yuki_the _bookworm"という、マジック周辺で翻訳とか執筆、海外マジシャンの通訳などをしている痴れ者が、カオスな状況の書庫兼書斎からお送りします。

 表題の"Better Late Than Never"というのは、直訳しますと「やらないよりは遅れた方がずっとマシ」という意味で、海外の出版物では訂正などの項目の表題に使われているのが散見されます。
 簡単に言えば、スボラな著者の遅くなってしまった訂正への言い訳って感じですね。

 これまで私が携わった数冊の訳本、著作が出版され、その中には出版後に訂正したかったり、追記したい事項が見つかることが多々あります。その都度、このズボラな筆者は「やっちまったよ…」と自己嫌悪に苛まれました。

 今までインターネットの世界は意識的に避けてきましたが、確かに即時性と普遍性という要素は大変魅力的です。
 そこで、今まで私が執筆したり翻訳した本や記事の訂正や追記事項を、今更ながらですがサブノート形式で読者の皆さまにお届けしようとこのブログを立ち上げました。
 やらないよりは、遅れてもやっておいた方が絶対良いですからね(ただ、文章にすらなっていない人々の思考の断片が、言葉の残滓となって彷徨い飛び交うTwitter全盛のご時世に、時代に逆行しているような気もします…)。

 メインコンテンツはそのサブノートになりますが、ちょっとした文章もアップしてみようと思っています。あと、新刊などのお知らせもチラリとさせていただけたら嬉しいです。

 私の与太話を始める前に、ちょっとした注意書きを(2010年1月:注意書きを一部改定しました)。

(1)確実に不定期更新となります。しばらく何も更新されなくても怒らないでください。基本的には褒められて伸びる人です。

 カテゴリーはこんな感じで分かれています。

・“はじめに”…これは私とあなたとのお約束です。
・“It's a fine day”…日記みたいなものです。
・“Can you keep a Secret?”…私の著作についての注釈(サブノート)です。
・“Someday in the rain”…マジック関連の書評です。
・“Marketplace”…マジックを含む商品紹介です。
・“Live to Eat!!”…私の好きな食にまつわる話です。
・“Y氏の生活と意見”…マジックに関する与太話です。
・“Show must goes on...”…映画や演劇、マジックショウなどの話です。
・“Infomation”…あなたへのお知らせです。

 マジック関連の話だけをお探しでしたら、“Can you keep a Secret?”と“Y氏の生活と意見”そして“Someday in the rain”のカテゴリーをご覧になられると吉かと思われます。"Marketplace"のカテゴリーでも、マジックの商品について触れていることがあります(2010年1月追記:ブログ開始から3ヶ月ほど経過しましたら、結構マジックに関することが他のカテゴリーでも書かれることが多くなりました)

 筆者のことを詳しく知りたいという方がいらっしゃるようです。客観的に見ると、こんな人らしいです(著者情報の上から2人目をご覧ください)。

 なお、このブログは2009年10月13日よりβ版として限定公開を開始し、2009年10月26日に一般公開を開始しました。何らかの理由により、事前の予告無しに公開中止になる可能性もあります。その際はご容赦ください。

(2)マジックの与太話につきましては、ある程度マジックをされている方向けの話が多くなっています。本当の初心者の方がまかり間違ってこのブログにたどり着いてしまった場合には、申し訳ありません。
 まずは、マジックの基礎などを学ばれてからお越しになると、あ、こういうことを言っているんだとお分かりになられるかと思います。
(2010年1月追加:あ、あと、マジックの種明かしを目当てに来られた方へ。残念ですが、このサイトには種明かしは一切ありません)

(3)コメントとトラックバックについては受け付けません。もし、アップした文章があなたのお気に召していただけましたら、これほど嬉しいことはありません。
 もし、あなたのお気に召さなかった場合は…素直にごめんなさい。私には与太話しかできませんし、他にも素敵なブログを書かれている方々が沢山いらっしゃいますので、そちらへ出向かれては如何でしょう?
 ご意見、ご質問、ご要望などがございましたら、右欄のメールフォームからお送りください。

(4)皆さまからのメールは、Computer Wizardでもある怖い管理人さんがチェックした後、ありがたく拝読させていただきます。しかし、個別の返答は出来かねますのでご了承ください。貴重なご意見は、ブログの中に反映させていただきます。

(管理人より)
 悪質なメールにつきましては、即刻受信拒否と当該ホストからのアクセス拒否を行い、メールの内容とホストをこちらですべて保存させていただきます。ご承知の上、メールをお送りくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。(管理人 拝)


…うわ、本当に怖い…。

 2012年6月追加:そして、メールフォームからのマジックに関する個人的なご質問・ご依頼には一切回答致しませんので、ご了承ください。この件だけでエントリーが数件かけるほどです。ご協力感謝いたします。

 大切なことなので、フォントも大きくさせていただきました。

 ブックマーク、リンクはご自由にどうぞ(2010年1月追加:但し、種明かし系サイトまたはブログからの当ブログへのリンクはご遠慮ください)

(5)サブノートについては購読者の皆さまへのサービスと考えておりますので、購読者の皆さまだけの限定公開とさせていただきます。あらかじめご了承ください…というか、本をお読みでない方にとって、サブノートは何のことやらさっぱり理解できないと思います。

(6)このサブノートについて、出版社などは一切関係ありません。連絡をされますと「ブログなんかしてないで、早く仕事しろ!」と私が怒られてしまいます。
 この内容についてのご意見、ご質問なども、右欄のメールフォームからよろしくお願いいたします。

(7)敬称についてですが、プロマジシャンの方に「○○師」とつけることが芸人さんの世界では常識のようなのです。しかし、私は一般人ですので、プロの方にも「○○氏」または「○○さん」「○○先生」と敬称を付けさせていただきたいと思います。たとえ、私が「師」と書いていなくても、敬称をつけさせていただいている皆さまに最大級の敬意を払っております。ご承知ください。

(8)このブログに掲載されているすべての文章、画像につきましては、一切の例外なしに不許可転載とします。

 それでは、お好きな飲み物を片手に、しばらくの間私の与太話にお付き合いください。
プロフィール

yuki_the_bookworm  (a.k.a "べたねば")

Author:yuki_the_bookworm (a.k.a "べたねば")
何げない日常の中の、本と料理とマジック。

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※本ブログへのご意見・ご感想のみお送りください。マジックに関する個人的なご質問・ご依頼等には一切回答出来ませんのでご了承ください。 また、戴いたすべてのメールに回答出来ませんが、確実に筆者の手に届いております。(管理人)

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