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Pray for Japan

震災後、マジックの世界でも国内、国外で様々な支援活動が始まりました。日本では、すべて若い世代の方が中心となって活動していらっしゃいます。その行動力には、ただただ頭が下がります。

もう、ご存じの方も多いのでは?と思いますが、その活動の中からいくつかを取り上げてみます。私は積極的に購入で支援したいと考えています。



スクリプト・マヌーヴァ社主催:ノートリック・レクチャー

 海外のレクチャーDVDを日本語にして皆さまに届けている画期的な会社、スクリプト・マヌーヴァが主催されるレクチャーです。
 出演者が今を時めくポン太 the Smithさんと、関西在住の天才クリエイター、岸本道明さんが、マジックよりも大切な「秘密」を語るレクチャーなのです。
 特にポン太the Smithさんのブログ「ポン太the スミスでございます」では、大変興味深いお話をされていますし、岸本さんの創作術には定評がありますので、内容は大変期待が持てます。特に関西地方の方は要チェックのイベントだと思います。

 あと、同社の代表、滝沢敦さんのインタビューが大変面白かったです。まだ未読の方は、こちらからどうぞ!



「あすぱら」さん主催の東日本大震災チャリティーのお知らせ

 大変洒落たマジック関連のウェブサイト「あすぱら」の主催者、k_motonariさんが企画されました。
 今のところ30名の方々が集まって、それぞれがワントリックずつ解説した動画を販売されるそうです。これも大変期待したいです。ウェブサイト上にCMの動画がアップされていますが、このトマトが大変可愛いのです!



・和泉圭佑さんの『2011チャリティー・レクチャーノート』

 Twitter上では「平成の赤メガネ」といじり倒されている、和泉圭佑さんがレクチャーノートを製作し販売を始められました。

 このノートが大変素晴らしいのです。
 まず、序文のポール・クリテリさんの文章が泣かせます。そして、寄稿者が日向大祐さん、浅田悠介さん、こざわまさゆきさん、大原正樹さん、小林洋介さん、さとるさんという、今をときめく若手プロから研究家が勢揃いし、素敵な作品を提供されています。
 作品もバラエティに富んでいて、この内容で3000円ならば、寄付も出来て素敵なマジックも覚えられると一石二鳥なのではないでしょうか? 
 このノートがたった1週間で制作されたとは、まったく思えません。英語版と日本語版ともに良い出来です(英語版はシンプルですがかっこいいデザインになっていますね)。

 あと、和泉さんが製作したレクチャーノート『小粒手品論』があるのですが、これは別のエントリーとして書いてみたいと思います。一言で言うと、これで1000円は安すぎると思います。



 あと、先日ご紹介させて頂いた「とひ」さんこと、こざわまさゆきさんの作品集『Incomplete Works』も、こざわさんが売上の一部を義援金として寄付されるご予定だそうです。
 「作品集は私腹を肥やすため」と仰いながらも粋なことをされる、そのツンデレっぷりについニヤリとしてしまいました。

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Incomplete Works

 皆様、大変ご無沙汰しております<(_ _)>

まず初めに。この度の震災で被害に遭われた地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。皆様は大丈夫でしたか? 被害が少なかったことを祈ります。
 私の住む地域ではほとんど被害がありませんでしたが、それでも今なお余震を感じることがあります。早く「何でもない日常」が戻りますように。

 私は昨年秋から年始にかけて7月に発症した「原因不明のめまい」から体調を完全に崩してしまいました(特に年末年始は最悪でした)。今はかなり体調も戻り、元気にやっておりますが、溜まってしまった様々な案件を解消している毎日です。

 その間、このブログ宛に頂いたメールなどもチェックできず(最悪なのはメールのパスワードを失くしてしまい、やっと先日見つけ出した次第です)、メールを頂いた皆様には深くお詫び申し上げます。徐々に返信させていただきます。少々お時間を頂ければ幸いです。



 先日、こざわまさゆき(a.k.a. トヒデルアルデヒド)さんより、4月に発売予定の作品集『Incomplete Works』を送っていただきました。
 こざわさんは皆様ご存じのとひぶろぐ(続)の主催者であり、その深い知識とシニカルでクールな文章で定評があります。こざわさんのブログのファンでいらっしゃる方は、かなり多くいらっしゃることと思います。そんなこざわさんの作品集と聞いたら、期待しない訳にはいきません。

 読了直後の感想は、私のTwitterでも2回呟きました。

読了なう。しびれたなう。


【奇術愛好家の皆様へ】@t_aldehydeさんの4月に発売予定の作品集、これは買いです。なんだろう、この洗練された思考の方向性と奇妙でシニカルな後味は!実戦派も研究派も楽しめる、非常に歯ごたえのある絶妙な作品集です。これは近いうちに書評をブログにアップしてみたいと思っています。


 この2つのツイートで話は尽きます。



 作品集全体に言える事ですが、こざわさんは、アメリカならポール・ハリス氏や日本なら亡き厚川昌男(泡坂妻夫)先生のような新原理を提示するような創作家とはちょっと違います。

 こざわさんの手順構成力が、大変素晴らしいのです。1つの作品を取り上げて、それを自分好みに大変うまくチューンアップされていきます。そのセンスが抜群に良いのです。こざわさんがお持ちの膨大な知識をフル活用され、バランス良くサトルティなどを手順の中に配置されていくのです。その知的センスにまず痺れます。このセンスこそが、こざわさんがお持ちのGift(天賦の才)なんだと思います。

 そして、その現象が持つシニカルな後味が素晴らしい。なんとも言えないシニカルで惚けた感じの味があるのです。そう、正しくとざわさんが書かれたブログやツイートを読んだ時のような、あの後味をマジックから感じられます。実戦的な作品も多いので、研究家でも演技者でもともに楽しむ事ができるでしょう。



 コイン、カード、リングなど収録作品も21作品と大変豊富で、150頁たっぷり楽しめます。
作品すべて素晴らしいのですが、ハイライトをいくつかご紹介しましょう。

・150円トリック:こざわさんが発表された作品の中で、たぶん一番有名な作品かもしれません。たった150円でここまで楽しめる作品はないでしょう。実は好きで結構演じさせていただいています。

・C-A-S-T:3段にわたる銀貨と銅貨の交換現象。手順構成が素敵です。

・Billbound:8つ折りにしたお札を指先でなでるだけで複数枚のコインに変化します。大変綺麗に見えるはず。

・Coins aGrass:これも手順構成が素敵なコインの飛行。原案のシンプルな良さを踏襲しています。

・Left-handed Coin:これは素晴らしいコインマジックでのプロットだと思います(Left-handed Hank自体は、元々Left-handed monkey wrenchというジョーク商品が名前の由来だったと思います)。思わずじっくりと練習を始めました。立って演じたいので、ちょっと作戦を考えてみました。

・Coin-cidence:珍しいコインのメンタル!

・Octrix:最初、奇術専門誌『Toy Box』で手順を拝読したときは、「どこのマルローやねん!」と思わず突っ込みました。この手順は先に演技を拝見したかったです。そのトリッキーなコインの動きは、目を見張ります。

・Matrix Bad Way かなりズルイ方法のマトリックスです(褒め言葉です!)Effect is Everythingで、見た目と流れは凄く綺麗ですね。

・Elastica: 輪ゴムとデックを使った手順。Band Slamという作品をうまく応用しています。これは覚えて損がないでしょう。

・Tiltless Ambition: 凄く豪華な手順構成されたアンビシャスカード。観客に方法論をうまくCancel outさせていく構成は達者だと思います。

・Erdnase Not Required:大変良いギャンブルの実演。ミニマムな準備で気軽に演じられて、なおかつ効果大きいですね。

・EZACAAN:簡単な操作で決まるACAAN。自分の好きな方法が決まっていない方には気軽に出来る良い手順だと思います。

・The Loaded Dice Cup:すごく豪華なダイスカップの手順。ヴァ―ノンのダイスのクライマックスがお好きな方にはおススメです。

・The Quintet of the Rings : けれんみのある、大変豪華なリングの手順。これはこの手順だけでDVDを出しても良いくらい。デュラティーの5本リングの手順をベースにして、素敵にアレンジをされています。

 解説はしっかりされていますし、イラストは金沢にあるマジックバー「金沢Style」のマスターで気鋭の若手マジシャン、ヤマギシルイさんが担当。的確なイラストです。



 ただし!ここでちょっとした注意があります。

 まず、解説の文章量が半端ありません。しっかり道具を持って1つ1つの操作を考えて読み進めないと、作品を覚える事が出来ない様になっています。これは結構挑戦的な試みだと思いました。本を読むのがかったるい、映像でマジックを覚えるDVD派には「ちゃんと読めよ!」と、映像学習を嫌う文献派には「どうだ、映像の方が分かりやすいだろう!」と両者に挑戦しているように感じました。この挑発、読者のあなたなら、どう受けて立たれますか?

 そして、一部の作品では必要な用具を揃える必要がありますし、文献を少し漁らなければならない部分もあります。しかし、すべてのヒントをこざわさんは本文中に埋め込んであり、私のブログにお越し頂いている皆様ならば、Googleなどの検索エンジンを使えば、その答えにたどりつけると信じます。

 こざわさんからノートを頂いて、速読派の私でも道具を手に取りながら読了に2週間ほどかかりました。逆に言え
ば、そうすることでこざわさんの作品を精読する機会になりました。私には大変うれしい挑戦でありました。
 でも、マジックを覚えるという事は、こうした手仕事以外にあり得ないんですよね…。



 今も震災の影響がありますので、皆様に対して気軽に買ってみたら?とは言えません。しかし、この作品集はmust-buyの作品集だと思います。値段と内容のバランスが非常に良いですから。
 
 逆にこういう時期だからこそ、節電を兼ねてテレビを切って、じっくり文章に立ち向かうというのにも良い機会なのかもしれません。骨太の奇術愛好家の皆様におススメしたい1冊です。



『Incomplete Works』 こざわまさゆき著、Magic House刊、定価5380円

お問い合わせは、Magic House社さま、もしくはTwitter上で直接とひさんに呟いてみると良いでしょう。
*300部限定とのことなので、チャンスを逃さないようにご注意を。



3月23日追記:作品集の初めのクレジットに私の名前があるそうです。これは文献などについてほんの些細なお手伝いをさせて頂いたことによると思います(知らなかったです!)。しかし、それに伴う金銭などは一切頂いていませんので、レビューは公正にさせていただいています。念のため、この事実を書き記しておきます。

2011年11月4日:ご指摘があり、一部を訂正をしました。ご指摘、ありがとうございました。
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yuki_the_bookworm  (a.k.a "べたねば")

Author:yuki_the_bookworm (a.k.a "べたねば")
何げない日常の中の、本と料理とマジック。

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