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「幸運の女神 物語」

gypsy_2.jpg

Do not buy what you want, but what you need; what you do not need is deer at a farthing.
- Cato the Elder


 私はあまり無駄遣いをする方ではありません。それでも、いろいろ面白い商品が目の前にありますと、ついつい買いたくなる衝動が生まれます。煩悩深き私には、それが人情というもののように思います。
 この"Marketplace"のカテゴリーでは、見つけた面白い商品の中でも、これは良かったと思った商品を、マジックに関するもの、関係ないものゴチャマゼにしてご紹介しようかと思います。
 
 東京でのワンシーンから。

 私と妻のCathyで、日本におけるマジックの総本山的なマジックショップ「マジックランド」へ久しぶりにお邪魔しました。
 日本のマジック界の仙人であるTon・おのさかさんに、ありがたい説法を伺いに参上したのです。ドアを開けると、いつもの通り、Tonさんの奥さま、ママ・おのさかさんはニコッと笑いながら、お店のマスター、さとしさんは「いらっしゃーい」と良い声で出迎えて頂きました。

 Ton・おのさかさんは、マジックの世界で知らない人はモグリである程の有名人です。国内外の一流マジシャンたちが"Tonさん"と慕い(旧友Paulは“National Tresure”だと言います)、彼らが来日する度に謁見に参上します。
 そして、何か相談事があるときは、世界中を駆け巡った経験に裏打ちされた広く高い視野から、その問題に対する的確なアドヴァイスをしていただける、日本のマジックの世界になくてはならない陰の立役者なのです。心なしか、その風貌も本物の仙人然としていらっしゃいます(ちなみに、左側にいるのが先生のJamy。Tonさんがタキシードを着られている貴重なショットです)。

 今回も、私が誰にも話していない話をTonさんはズバズバ言い当て(仙人なので当たり前の能力です)、それについてのアドヴァイスやヒントを沢山いただき(これも仙人なら当然お持ちの千里眼ですね)、気がつけば3時間も滞在させていただきました。

 久々にお邪魔したので欲しかった商品をいくつか見繕ったのですが、その中に「幸運の女神 物語」がありました。
 これはイギリスの奇才、ピーター・ケーン氏が考案した「Gypsy Curse」という作品で、自らが考案したパケット・トリックの名作「ワイルド・カード(Wild Card)」の改案になります(ちなみに、この題名は"Curse"と"Cards"、つまり"ジプシーの呪い"と"ジプシーのカード"という言葉をかけた駄洒落になっています)。

 この作品は「ワイルド・カード」と同じく、カードが変化していく現象です。原案は、ジプシーのおばあさんと賭けをする演出になっています。6枚の数のカードの中に紛れている1枚のハートのQの位置を当てようとするのですが、絶対に当たりません。どんなに分かりやすく説明されても当てることが出来ません。最後に、ハートのQ以外のカードの位置を当てさせようとするのですが、突然7枚すべてのカードがハートのQに変化してしまいます。

 普通のワイルド・カードと違うのは、手順の最後にすべてのカードの両面を自然にしっかり観客に示すことができる点。使用する道具立てと興味をそそる演出、鮮やかな現象のバランスがとても良い作品なので、以前から折に触れ演じていました。私が一番最初に購入した製品は、東京ディズニーランドの中にあるマジックショップで販売されていた輸入品(Emerson & West社製)でした。

 色々なプロマジシャンもこの作品に触発されたようで、例えばオランダの名手、フレッド・カップス氏も素敵なハンドリング(ただし未発表)を演じていらっしゃいました。あと、アメリカのロン・バウワー氏の作品「Sudden Death Gypsy Curse」(同名の小冊子に発表されています)も面白いですね(残念ながら、無許可で日本のある専門書に発表されてしまったようです…)。
 もし薄気味悪い演出がお好きなら、ベルギーのビザリスト、クリスチャン・チェルマン氏の「PACT」という作品も要チェックです(氏の最初の作品集『Capricornian Tales』に発表されています)。

 以前マジックランドで「ジプシー・カーズ」として販売されていたのですが、一時品切れになっていました。それが、少し前にモデルチェンジして再版されたのです。
 丁度、拙訳の 『デレック・ディングル カードマジック(コインマジックもあります)』の中に、名人ディングル氏らしいハンドリングと演出が解説されたこともあり、久々に演じたくなりました。

olddeck-2.jpg
 もともと、この作品に使われるカードは、中世の古いカードを模したものでした。上の写真は、私のコレクションから、確認された中でも一番古い、完全に52枚一組揃ったプレイング・カード「Flemish Hunting Deck」です。
 このデックは、1475年から1480年の間に作られたデックで、なんとすべてが手書き。ニューヨークのクロイスターズ美術館に収蔵されている現物を、大手トランプメーカーの1つであるウィーンのPiatnik社が複製したものです。現物を見に行ったこともありますが、細長い楕円形で、大変品の良いイラストです。裏面を撮影していない理由は、残念ながら、当時のカードには裏模様がなかったからであります。
 マジックランド製のものも、他の海外の会社で作られているものも、こうした古いカードを模していることが良くお分かりになるかと思います(最近発売されているドイツ製のものは、非常に凝った製品になっていますね)。

 新しいマジックランド製の製品に戻りましょう。原案通り、カードは羊皮紙のような紙に包まれています。こうじゃなきゃ、演出が効きません。そしてカード。ちょっと小ぶりになって、大変扱いやすいです。カードの滑りも問題ありません。カードの表面のデザインも私好み(でも、裏模様のデザインは、昔の製品の方が好きかなぁ…以前のものは、手書き風のイラストだったのです)。
 解説書は親切にも3手順分付いていて、原案から改案まで学ぶことができます。カードも通常のセットに加えて余分に数枚付いているので、普通に「ワイルド・カード」を演じることも可能です。
 私はディングル氏の作品が好きなので、それを演じることになるでしょう。当分の間、楽しむことができそうです。

 もしディングル氏の作品を演じられたい方がいらっしゃったなら、演出について一つお話ししないといけないことがあります。
 上記の本の中で、枕の話に使われているジョークの本当のオチが、どうした理由からか抜けてしまいました。もちろん、本に解説されたままでも演じていただけるのですが、ここに残しておきましょう。85頁の上から3行目からです。

 『このカードが特別な理由は、私にとって特別なものだからです。このカードは、私のお爺さんから今際の際に渡されたものです。本当は売りつけられたのですがね。ケチなお爺さんを持ったものです。仕方ないので、お爺さんには小切手を渡しておきました』

 お爺さんは死ぬ間際なので、小切手を渡して現金を渡さなかったということです。お前もケチだろうが!という考えオチですね。今風に言えば「カードで決済しておきました」とか「ツケにしてもらいました」って感じでしょうか?

・定価 2500円(税抜) 連絡先 マジックランド 電話03-3666-4748

 追伸:さとしさんへ:ママさんも強力にオススメで、私も表面のデザインが良いですよね、と話している横で、ボソッと「そうかぁ? そこまで強く言うかぁ?」とか言わないの! 良い商品なのです!!

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Author:yuki_the_bookworm (a.k.a "べたねば")
何げない日常の中の、本と料理とマジック。

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