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“Magic ! - The Science of Wonder”

 私が新居に引っ越してすぐ連絡を頂いた方の1人に、歴史家でありプロマジシャンのリチャード・ハッチさんがいらっしゃいました。

mrhatch_and_yuki_3.jpg
(私とハッチさん@馴染みのカフェ)

 ハッチさんの凄さは、これだけではありません。奇術専門書に関する世界一の書店である“H&R Magic Books”(少し前に右側のリンクにもこっそり加えました)の経営者であり、カードマジックの祖、J・N・ホフジンサー氏や、本名不祥の伝説のギャンブラー、S・W・アードネス氏の研究家(2008年に発売されたこの11巻セットのDVDにもハッチさんは登場して、『プロが明かすカードマジックテクニック(原書名“The Expart at the Card Table”)』の歴史などについて語っています)、『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ』シリーズなどの翻訳家(ドイツ語から英語)、もちろんご自身も凄腕のパフォーマーでもある完璧超人です。
 2007年にはSAMの機関誌『MUM』で特集記事も組まれています(お、ここでその記事を読むことができますね。※pdfファイルなので注意!)

 最近発売された『Friends of Roger Klause vol.1 & 2』というDVDにも出演され、そこで解説されているハッチさんの「ヒンズーヤーン(復活する糸)」は絶品です(ちなみに、このDVD、あまり広まって欲しくないくらい、かなりオススメです。亡くなった名人、ロジャー・クラウズ氏の追悼として作られたのですが、出演者も内容も両方とも素晴らしい)。
 ハッチさんとお話しするときは、マジックに関する歴史的な話や日本文化の話などでいつも盛り上がりますし、古書のことで質問があると、いつも親身になって答えてくださいます。

 そのハッチさんが協力した、マジックの歴史やその蘊奥に触れることができる特別展示“Magic! - The Science of Wonder”が、テキサス州ヒューストンにあるヒューストン自然科学博物館(Houston Museum of Natural Science)で先月26日から9月6日まで開催されます。この映像が、博覧会の予告編になります。
 そのプレオープンとパーティーに参加されたそうで、「凄かったよ! 本当に良い博覧会になるよ!」と興奮気味に教えていただきました。

magic_poster.jpg
(これはそのポスター。欲しいなぁ、これ)

 この特別展のために、ゲスト学芸員としてスコット・サーヴィン氏が招かれました。氏の名前は、古くからの愛好家の方ならきっとご存知だと思います。
 1980年代に登場し、さまざまなマジックの大会で賞をかっさらっていったイケメンマジシャンです。1986年に開催された“ニューヨーク・マジック・シンポジューム東京大会”にも出演し、その素敵な演技で観客を魅了しました。素敵な2本のリングの手順、ケーンと四つ玉、そして「雨に歌えば」にのせてタップダンスを披露した後行う人体浮揚で〆る、気品漂うクールな演技は今でも脳裏から離れません。
 その後、サーヴィン氏は有名なコメディーチームに参加し、徐々に映画や脚本制作に力を入れるようになり、映画制作のプロダクションを設立して、マジックの世界から離れていきました。
 2004年にここの博物館の館長からマジックに関する特別展の話しを受け、今回の特別展が開催される運びとなったそうです。この映像では、サーヴィン氏本人が“マジックの原理”を紹介しています。

 今回の特別展を開催するにあたり、サーヴィン氏は歴史家として名高いトッド・カー氏やマイク・ケイヴニー氏などの協力を得て展示内容を決めていったそうです。そしてJ・N・ホフジンサーやアードネス、そしてマジックの文献に関する歴史はハッチさんに、国内外の奇術道具に関するコレクターにも協力を求めていきました。
 その展示内容の豪華なこと。ここにその一部が掲載されていますが、他にも“近代奇術の父”ロベール・ウーダン氏の名作“Light and Heavy Chest”のオリジナル、ホフジンサー氏が実際に使用していた用具(レプリカですが、ブックテストの傑作“The Word”に使用する本、全8冊もあります)、“King of Koins”と呼ばれたT・ネルソン・ダウンズ氏の旅行セット、実際にジプシーの老女が演じている「ジプシー・スレッド(復活する糸)」の演技の映像(「ジプシースレッド」は、元々ジプシーが占いの客寄せのために行っていた芸当の1つで、それがマジックの世界に流入したのです)など、非常に興味深い品々が多種多様に展示されています。

 しかも、この展示会ではマジシャンが実際に演技もします。そう、マジシャンも展示の一部になっているのです! そして、その顔触れの豪華さときたら。
 ハッチさんをはじめ、ジョン・カーニー氏、ビル・パーマー氏、スコット・ウェルズ氏、そして、サーヴィン氏の親友であり、ヒット映画『アダムスファミリー』(1991年)の“手”の演技でも知られるクリストファー・ハート氏などの名手たちが続々と登場するのです(この映像ではカーニー氏のコインの演技を、別の映像ではカップと玉の演技楽しむことができます)。

 地元メディアもこの特別展を取り上げ、これこの 映像を見れば、取り上げられ方も良く分かります。

 さらに、ここだけではありません。今年の10月末からはニューヨーク市のアッパー・イースト・サイドにあるユダヤ博物館(The Jewish Museum)で、脱出王として名高いハリー・フーディニー氏(このサイトで、氏の肉声を聞くことができます)の特別展“Houdini : Art and Magic”が開催されます。フーディニーが芸術に及ぼした影響、なんて凄く興味深いではありませんか! 

 ヒューストン自然科学博物館の特別展の内容や、このフーディニーの展覧会の要旨をざっと見てみると、マジックを“High Culture”としてとらえているんですよね。マジックの地位向上を考えると、一般の方に対する大変素晴らしい啓蒙になると思います。また、期間も長いですから、より多くの方にご覧頂くチャンスにもなります。
 マジックを1つの文化としてとらえることが出来る人が研究者にいて、それをアピールできる環境があることに感心し、非常に羨ましく思うのです。
 日本でも河合勝先生の素晴らしいコレクション展示などが近年ではありましたが、こうした展覧会をもっと日本で観てみたい!と切に願ってしまいます。日本においてマジックを1つの“High Culture”として一般の方々にとらえてもらうには、一体どうすれば良いんでしょうかね…? うーん、また悩みの種が1つ生まれてしまいました。

 この2つの展覧会、もう少し先になるけれど実際に観に行こう、と心に誓った今日この頃です。

 ちなみに、ヒューストンの展覧会については、奇術専門誌『MAGIC』にハッチさんが寄稿していますので、近いうちに掲載されます。マジックの歴史がお好きな方は、必読の記事ですよ!
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yuki_the_bookworm  (a.k.a "べたねば")

Author:yuki_the_bookworm (a.k.a "べたねば")
何げない日常の中の、本と料理とマジック。

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